第22話 ページ25
ソファに座っていた虎杖は驚いた顔をしながら立ち上がり、口をあんぐりと開けていた。その数秒後、手に持っていた呪骸が虎杖の顔面を殴った。
「痛って!」
「はい、呪力は一定」
「そんなことより説明しろ悟!何で虎杖が生きてる!?」
のらりくらりしている五条の胸ぐらを掴んだAはぐわんぐわんと揺さぶる。身長差があるからか大きく揺さぶられている五条は「酔っちゃう酔っちゃう」とAを宥めた後、さらっと一言。
「解剖始まる前に心臓が元に戻った。宿儺の力でね」
「だとしても何で…」
困惑しているAに虎杖が近づいていく。ちゃんと呪骸を脇に抱えて。
「Aごめんな!宿儺に首絞められただろ!?痣とかになってねぇか!?」
「その事に関しては問題ない。硝子さんに治してもらったし。ああなったのは私が弱かったこともあるから…」
Aからの返答に「良かった〜」と心底安心した顔をした虎杖。お人好しなところは相変わらずの様だ。2人の様子を微笑ましそうに見た五条は「はい!注目!」と手を鳴らして視線を集める。
「Aは僕達が忙しいときにご飯の材料持って来てほしいんだよね。悠仁のこと知ってるの僕と硝子と伊地知だけだから、皆には言わないで。お披露目するのは交流会のときだから」
五条の言葉からAは「あぁ、力をつけるまで上層部から隠すのか」と察した。そして、虎杖の生存を知っている大人達が忙しいときは自分が虎杖に材料を持っていくと。五条の言いたい事はわかった。
「私が忙しいときはその日の3食分一気買いして持ってくけど良い?」
「それで良いよ。僕達3人だけだとちょっとキツかったからありがたい」
「ありがとうなA!これからもよろしく!」
これからも、という言葉にAは、いつの間にか開いていた穴が直っていく感覚を覚えた。喪失感がなくなった、ということだろうか。知り合って2週間ほどの人物の生存に、ここまで感情が揺さぶられるとは思っていなかった。
「じゃあ顔合わせ終了!悠仁はまた映画見始めてね」
「うっす!またな、A」
「…また、ね」
五常と一緒に建物から出て歩き始めたとき、Aは疑問に思っていたことを聞いた。
「本当に私に話してよかったのか」
「勿論、俺はAを信頼してるからな」
「…」
「あ、照れた?こっち向いてみ?」
「うるせー!」
顔が赤くなってなくても、心情を察して揶揄う。五条悟はそういう男だ。
本当に、狡い男だ。
こんな男が初恋だなんて笑えない。
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ヨッシー(プロフ) - 内水 眞衣香さん» コメントありがとうございます!五条先生凄かったですね!アニメではまた違う美しさがありました!呪霊側との接触も上手く書けるように頑張ります! (2020年11月15日 11時) (レス) id: 27a5e91788 (このIDを非表示/違反報告)
内水 眞衣香 - 五条先生は目隠しを外したら、雪のように白くて素敵だと思いました。真人も登場して、これからの活躍が楽しみです!^_^ (2020年11月15日 11時) (レス) id: 57a8ad7f5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨッシー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/zyoui1/
作成日時:2020年11月7日 20時