胡蝶カナエ�� ページ10
『綺麗な血鬼術だったね。怖いくらい。』
「そうですね。」
Aは立ち上がり、カナエの手を取った。
『ところでさ、カナエちゃん。怪我、してるでしょ？』
「まぁ」という風に、カナエは口を動かす。
『動きで、わかるんだ。良かったら家まで送るよ。妹さんが治療できるんでしょ？』
「けれど・・・。」
それは他の隊士たちに悪いのではないか、と心配する風に、カナエはあたりを見回す。
二人の周りには、深い森があるだけだった。
『隠の人たちも、さっき引き上げて行っちゃったから。』
カナエを抱き上げようとするAに、カナエは慌てて両手を振る。
「大丈夫です。自分で帰れますから。」
『無理は良くないよ。先輩に任せておきなさい。』
見たところ、カナエの怪我は深いものではない。
しかし、カナエが体力をかなり消耗していることをAは見て取っていた。
問答無用、と、Aはカナエをお姫様抱っこにした。
そのまま山を下り、カナエに案内させる。
『ここをまっすぐでいいんだね？』
「はい。この道の突き当たりに一軒、家を借りています。」
『わかった。』
カナエの家まではあっという間だった。
カナエが舌を噛まない程度に。
それだけに気を付ければ、Aは鬼殺隊最速の速さで走ることができるのだ。
「胡蝶」という表札を確認して、Aは玄関扉をノックする。
『ごめんください。』
「はい」
怪訝そうな顔をした女の子が、引き戸を少しだけ開けて顔を出した。
この子がカナエの妹のしのぶだろうか。
カナエとよく似て、整った顔立ちの子だ。
急いで着たのだろうか。
彼女の纏う隊服は、少し乱れていた。
「どちら様ですか？今取り込み中なので少し・・・」
そう言いかけて、しのぶは手で口を覆った。
「姉さん！」
「ああ、しのぶ。大したことはないのよ。」
カナエはAに抱かれたまま、眉を八の字にして笑った。
Aはカナエをそっと地面におろす。
かなりの距離を揺られてきたのだ。
カナエは少しふらつく。
それを見て、しのぶは目を剝いた。
「すぐに手当てするから！入って。」
「しのぶ、話を聞いて。」
カナエの言葉は、乱暴に引き戸を開ける音でかき消された。
「大したことないわけがないでしょ！怪我人も多かった任務なのに！」
「あ、しのぶ、待って。Aさんにご挨拶を・・・」
しのぶに引きずられるようにして、カナエは家の中に姿を消した。
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ひかる(プロフ) - ちーさん» ありがとうございます！励みになります。 (2022年6月2日 18時) (
レス) id: 97f5eb0e61 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - ooooさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2022年6月2日 18時) (レス) @page36 id: 97f5eb0e61 (このIDを非表示/違反報告)
oooo - え！！最高すぎます！！これからも頑張ってください！！ (2022年5月29日 10時) (レス) id: 79b285b7ae (このIDを非表示/違反報告)
ちー - ヤバすぎマジで好き！続きまってます！ (2022年5月23日 23時) (レス) @page20 id: 260906d624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひかる | 作成日時：2022年5月15日 10時
