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『本当に、困るよね…』
ウルドみたいに純粋な狂気ならまだ良かった。閉じ込められるくらいなら可愛いものだ。
でも、私は違う。ウルドの全てを喰らい尽くしたくなってしまう。それを抑え込んでいるのだ。
ウルドを喪うのが怖いから。喪いたくないから。…何より、そんな醜い自分を知られたくないから。
たぶんウルドは、私がそんなことを思っているのだと知ったら喜ぶだろう。でも、そんなのは嫌だ。だから私は自分自身を抑えつける。悟られないようにそれを心の奥底に仕舞い込む。
「…その気持ちを、彼には伝えないの？」
『こんな醜い狂気なんて、知られたくないからね』
「彼は、それを受け入れると思うけれど」
『そうだね。でも、ミカだって分かるでしょう？唯一を喪いたくない気持ち』
「…そう、だね…」
ミカにとっての唯一の存在。それは優だ。
彼は優を人間たちから取り戻すべく、救うべくこの四年必死だった。私の指導の元、着々と力を付けた。
そして、もうすぐ焦がれた優に会えるかもしれないのだ。きっと、ミカの中には期待と不安が入り混じっているだろう。
『…大丈夫だよ、ミカ』
そんな彼の頭に手を伸ばしてゆっくりと安心させるように撫でる。
『あの子は君が吸血鬼でも拒絶しないから』
「…そう、かな…？本当に、拒絶しないと思う？」
不安に揺れる瞳が私に縋るように尋ねる。
『私の地位を賭けてもいいくらいだよ』
「…」
『優は、君のことを家族だと言ったんでしょう？なら大丈夫だよ。その言葉はきっと、偽りなんかじゃないから』
「…うん」
家族、という言葉にミカは頬を緩める。
唯一残った家族ー百夜優一郎。《あの子》によく似た少年。彼はいま、どうしているだろうか。力は付けただろうか。ミカのことを忘れないでいるだろうか。…なんて、愚問だったか。
「優ちゃんは…僕が救うんだ」
『そうだね。君はその為に力を付けたんだから』
「優ちゃんだけは…絶対に僕が守る」
一途で、純粋な願い。
それに眩しそうに瞳を細めて一度瞳を閉じて、開ける。
『ならまずは、優に会わないとね』
「ああ」
『でも無茶はしてはいけないよ？もしも、君がいなくなってしまったら私だって悲しいんだからね？』
「…うん」
『よしよし。良い子だ』
ミカのふわふわとした髪を梳くように撫でると微笑む。
『それじゃあ、次の戦争に備えておくように』
「ああ。分かった」
『じゃあね』
ぽん、とミカの肩を叩いてその場を後にした。
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レイ(プロフ) - 露亞さん» 私の妄想満載の小説を素晴らしいだなんて…！ありがとうございます！のんびり更新していきますので、また良かったら読んでみてください！ (2020年6月15日 18時) (
レス) id: e8675e311e (このIDを非表示/違反報告)
露亞(プロフ) - ウルド様ァァァあ”あ”ウルド様！！！素晴らしい小説ですね！！！更新頑張ってください！！！！！ (2020年6月15日 18時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイ | 作成日時：2020年6月6日 21時
