【ポケモンUSUM】Close to you【グラジオ】 (ページ5)

今日:11 hit、昨日:1 hit、合計:24,585 hit

phase.4 ページ5

今日はバトルロワイヤルに行くとグラジオがいうので、朝起きて適当な服に着替えた。一応と腰にひとつ、モンスターボールをつける。ルカリオのものだ。

とっくにしたくを終えているグラジオ。

「待たせた」

「気にするな」

　てくてくとモーテルを出て歩く。モーテルからはものの数分でロワイヤルに着いた。そこにいたのは、昨日の深緑の少年、ハウとふざけた仮面だった。グラジオは一回不快そうな顔をするが、その後、何事もなかったかのように言う。

「行ってくる。待ってろ」

「ん」

　返事をしつつ、手近なベンチにすわった。きっとグラジオは次の試合に出るのだろう。なんて考えているのもつかの間。

「あとは……、そこの君！バトルしようじゃないか！」

「え、」

ふざけた仮面だった。

「無理です。結構です」

一拍おいて、慌てて返事をする。無理に決まってる、だって、

「負けそうで不安かい？大丈夫、みんな一体づつしか出さない。ルール説明もするさ」

言いつつあたしの腕を引いて立ち上がらせるその仮面に、不快感を露にした。無理だといっているのに。
どうやらグラジオもこの仮面に捕まったらしく、腕を引かれるあたしを見て血相を変えた。

「おい仮面、そいつはだめだ、手を離せ！」

「いや、どうしたんだい少年。バトルは負けても勝っても楽しいものじゃないか」

「そいつは訳は違う！」

　彼が人前で声をあらげるのは久々に聞いた。私ももう一度無理ですといった。駄目なんです、絶対。
ハウが嬉しそうに言う。

「あー、昨日のお姉さんだー！気が向いてくれたんだねー」

「っ、ちが」

「受け付けこっちだよー」

　半ば無理やり受け付けに押し込められ、グラジオの制止と怒号を背後にしながら、私はバトルフィールドへと吐き出される。

野生のポケモン戦やトレーナー戦じゃないから、これは降参も逃げることもかなわないのだ。不味い、と悪寒が背筋を支配する。
……まさかグラジオの勘が当たるだなんて。戦闘開始のゴングは、ここから始まる悪夢を象徴しているようだった。