【ポケモンUSUM】Close to you【グラジオ】 (ページ24)

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phase.23 ページ24

ハウ視点

　チャンピオンロード。
　選りすぐりの特訓エリアで、おれは暫くバトルばっかりをしていた。
　たまにお姉さんのお見舞いに行ったり、リーリエと遊んだりしたけど、基本的にバトルばっか。
　その中でも今日は、リーリエから聞いた話が気になって、夜になっても何となく眠れず、こうしてフィールドに出ているのだった。

　お姉さんは、グラジオがお見舞いに来てくれないのと明るく話したらしい。まさか、と思ったけれど、お姉さんがそんな嘘をつくわけないからほんとなのだろう。もし会ったら、あたしが会いたいって伝えといて、が、お願いの内容だったのだ。
　リーリエは、明日のおれのバトルに間に合うように帰るから、とグラジオを探しに行ってしまった。

　ただ、夜道を歩く。
　グラジオとお姉さん、ふたりが一緒にいる理由は、お姉さんからざっくりとだけ聞いていた。
　お姉さんはある幹部の娘で、グラジオと仲が良く、それでいて正義感溢れる子供だったらしい。ヌルにリオル、檻に入れられたポケモンたちと一緒にエーテルを抜け出して、ふたりで生きていこうと決めたのだと。お互いにささえあって、守りあって行こうと。そのあと、ジュペッタのことが起こって、あたしは守られるだけの存在になってしまったんだとお姉さんは語っていた。二人の関係は、相棒で、家族だった。あれだけお互いが大事で大好きで、それでいて付き合っていないのも謎だったが、
　それだけに、グラジオの行動がもっともっと謎なのだ。

　お姉さんが一番大変なときに、グラジオは、どこでなにをしているの。巻き込んでしまった負い目から、放っておくのもなんだか違う気がして、でもなにもできないからと、独り言を溢した。

「お姉さん、絶対寂しいよねー」

「______Aに、悪いとは思ってる」

「なら、行ってあげればいいのにー……って、グラジオ！？どうしてここにいるのー！？」

　すっとんきょうな声をあげてしまったおれ。意にも介さず、グラジオは続けた。

「…………挨拶に来たんだ」

　月をバックに微笑んだグラジオは、悔しいくらいに似合っていた。