phase.2 ページ3
「……ちょっとだけ腕いたいんだけど、」
「……悪い」
「力緩めてよ、って意味」
「……ん」
ポケセンの明かりから遠ざかるようにして歩くグラジオに、そっと苦言を呈すと、ゆっくりと腕を握る力を弱めてくれた。頭のなかには、さっき目の前の彼がハウに豪語した台詞が頭をまわっている。そんなことしなくたって、
「……戦わないよ、グラジオ。あたしは」
「……ああ」
「あたしの気が向いても、そんなのルカリオが許しちゃくれない。だから安心してよ、グラジオ」
「……ああ」
「……そんな顔しないでよ、グラジオ」
悪い、と滅多に人に見せない弱気な表情を晒したグラジオとあたしの間に、夜の冷たい風が吹く。
「……そんなに不安？」
「……戦わなきゃいけない、そんな気がするからな。お前も、俺もだ」
「……そもそも、心配性過ぎるんだよ。グラジオはさ」
「そんなことないだろ」
「あるよ。ルカリオもだけど。……言われなくてももうあんなことしないっての」
「……そうだといいんだがな」
細く長く、しかし節の目立つ男子らしい指があたしの腕に食い込んだ。無意識なのだろうか。ふっと小さくため息をつくと、同じタイミングでグラジオもため息をついた。少し先に立っていグラジオを眺めながら再び、沈黙を破った。
「早く帰ろう、グラジオ。……あたしが戦う戦わないの前に、野宿する方が危険だよ」
「ああ、そうだな。いこう、A」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 72人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ポケットモンスター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
遊星(プロフ) - 素敵な話なのに更新停止は勿体無いです。早く続き読みたいです。 (2019年4月6日 22時) (
レス) id: cc3dcebb37 (このIDを非表示/違反報告)
天沢そら(プロフ) - 海零さん» ありがとうございます!頑張ります！ (2018年3月14日 0時) (レス) id: 304e931700 (このIDを非表示/違反報告)
海零 - こーしん頑張ってくださ〜い。 (2018年3月12日 23時) (レス) id: 1043ba656f (このIDを非表示/違反報告)
天沢そら(プロフ) - 空 グラジオ〜♪さん» 誤字報告ありがとうございます！修正しておきます！ (2018年3月4日 18時) (レス) id: 39081cbed4 (このIDを非表示/違反報告)
空 グラジオ〜♪(プロフ) - 待ち続けて が町続けてになっています (2018年3月2日 16時) (レス) id: 6efc2cbd84 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：天沢そら | 作成日時：2017年11月23日 21時
