【ポケモンUSUM】Close to you【グラジオ】 (ページ19)

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phase.18 ページ19

どうしてここに来てしまったんだろう。
グラジオの言う通り、家でじっと待っていれば、こんなことにならなかったのかな。

　そんな自己中心的な考えが頭に浮かび、消えた。いやです、まってと繰り返し叫ぶリーリエを腕の中に閉じ込めたハウは、今にもあの乱闘の中へとの飛び込まんとするリーリエを引き留めているのだろう。当のあたしはと言えば、へたりこんだまま事の推移をみまもっていた。

「おい、立てよ。嬢ちゃん」

「っ、グズマ、さん」

「お前、グラジオの連れだろ」

「そうですけど、」

「だったらちょっと立ってるくらいの度胸はあんだろ。立ち上がって、いつでも逃げられるようにしとけ」

　アイツは化けもんだ。グズマさんの本気の忠告に、身震いした。それと同時に、どうしてあそこに、ネクロズマたちの目の前にたっているのがハウとリーリエなのか、それに深い後悔を覚える。祭壇の端に座り込んでいる代表がここに来てまでなにもしないなんてあり得ない。グズマさんだって情のあついひと。なら、ふたりは今動きたくても動けない、と言うのが妥当な線だろう。
　グズマさんに差し出された手を断って、ゆらりとあたしは立ち上がった。

「お、おい」

「大丈夫です」

　煩く鳴り響く鼓動を押さえつける。あたしは、それでも不思議と落ち着いていた。冷静では、なかったかもしれないけど。

　いつまでもどこまでも、グラジオの足を引っ張るわけにはいかないから。多分、平気。グラジオがいなくても、あたしはあたしの守りたいものを守れるようになりたいんだ。

　ネクロズマが、暗い光を放つ。リーリエの断末魔のような叫び声が耳をつんざく。リーリエの反応は当たり前だ、目の前で、大事なポケモンが別のポケモンに吸収されたのだから。

「っ、リーリエ！！」

　声を張り上げたハウが、その場にへたりこんで放心したリーリエを支える。その横を、あたしはゆっくりと通りすぎた。

「！？お姉さん、何してー」

「リーリエとハウを、あと代表とグズマさんも、守るよ。こういうのは、年上の仕事でしょ？」

「だめだよ、だってー、お姉さんはー！！」

「平気平気、一回くらい。………グラジオへの弁解、付き合ってよね」

　きっとこれは、アローラの危機。
　あたしひとりで立ち向かうものじゃないのは分かってる。グラジオとの約束をいくつもの破ることになるのも分かってる。ここに来た目的とは違うけど、

「いくよ、ルカリオ。……久々に、暴れておいで」