【ポケモンUSUM】Close to you【グラジオ】 (ページ14)

今日:13 hit、昨日:1 hit、合計:24,587 hit

phase.13 ページ14

3日が経った。

いよいよ、あたしは耐えきれなくなる。ルカリオがあたしを止めようとするのを振り切って、簡単な旅支度を整える。これは奥の手だった。
グラジオがあたしを気遣うように、大切にするように、あたしだってあいつが大切なのだ。帰ってこないあいつを待ち続けるほど、あたしは気が長くない。

「ルカリオ、ボールに戻って。それから、あたしがいいって言うまで絶対、出てこないで」

　ルカリオが首を降った。いやだ、と言いたげに。

「大丈夫。いい子だから、はやく。グラジオを探しにいきたいの、あたしもグラジオを助けたいの」

　分かってくれるでしょ、とルカリオに念を押してから、まだ不満げなルカリオをボールに戻した。覚悟をきめたあたしは、ふうと息をつく。夜になりかけている世界は、この奥の手をつかうのにはぎりぎりだ。明日の朝まで待つという手もあるけどな、と思案してから、ふるふると首を振った。

かちゃりと、とびらを出てから鍵を閉める。久しぶりのひとりだ。

　どこから探そう。たしか、ウラウラ島に行くと言っていたか。あそこにはエーテルハウスがある。とりあえずそこへ向かって動くことにしよう。
ライドギアはグラジオが持っている。リザードンを頼ることはできない。

　覚悟を決めたあたしは、きゅっと唇を結んだ。乗船場までは歩きの一人旅。慎重に、計画通りに、動くべき。
　作戦は、こうだ。あたしはむしよけスプレーをありったけもって道路へ。トレーナーから話しかけられても、断る。どうろに出ると、早速バックパッカーのおねえさんに話しかけられた。

「ねぇ、そこのきみ！バトルしない？」

「あっ、すみません……！あたし、トレーナーじゃないんです」

ふざけた仮面の時も、こう言えばバトルを避けられたかもしれない。あのとき、服のしたに隠れていたボールを見てそう思って、それと同時にボールさえ隠しておけば、身の安全は保証されるんじゃないかとあたしはかんがえたのだ。

「えっ、そうなの！？」

「はい。友達を探していて……ウラウラ島を目指してて」

「わ、大変だね……？ウラウラ島？ならちょっと待って、ギアもってる友達の子に連絡してみる！」

　え、とあたしは目を見開いた。そんなご丁寧に、と言えば、そのバックパッカーの人は笑った。

「困ったときは助け合い！それがアローラでしょ？あなたは友達探ししてるだけなんだか遠慮しないの！」