【ポケモンUSUM】Close to you【グラジオ】 (ページ13)

今日:23 hit、昨日:1 hit、合計:24,597 hit

phase.12 ページ13

夜が、明ける。

「…遅い。遅すぎるよね、ルカリオ」

　ベッドに座ってグラジオの帰りを待っていたあたしは、夜になってねむりこけた。グラジオの言うとおり、今のあたしはひとりで外にでるなどもっての他だ。いろいろな場所をめぐり、ポケモンたちに広い世界を見せてあげる。その夢のついでに、あたしはあたしののろいの解き方を調べていた。だけど、それだっていつもグラジオが一緒だ。確かに今のあたしは、人に守ってもらわないと生きていけない体質だった。

「もう、朝だよ。ねぇ、」

どうしてこんなに帰りが遅いの。

　ただ帰りが遅いなら、べつに構わない。だけどグラジオは今、エーテル財団と関わろうとしている。もしかしたら、なにかに巻き込まれているのかもしれない。

　だけどあたしは、こんなときでもグラジオを探しに行くことは、出来ない。

「……ほんと、いじわる。グラジオってば」

そんな悪態をついてみても、帰ってくるのはルカリオの苦笑いだけだ。ルカリオと朝御飯を食べながら、あたしはため息をつく。

「『お互いを助け合って生きていこう』なんて誓い、守れるはずないのにね。子供だったからかな、そんなこと約束しちゃって。あたしとグラジオ、ほんとの家族でも恋人でもないのにね。ルカリオ」

　ごめん、ネガティブだ。そんなことをこぼしながら、あたしは不自然に口角をあげる。
　どうして、この時間なら来ていても可笑しくないハウも、居ない。三日と開けず来ていたのに、今日で来なくなってもう一週間だ。
　
　ほんとは分かってる。傍証ならいくらでも。ふたりは何かに巻き込まれたのだ。そうでなければ、グラジオが帰ってこないはずなどないのだから。

　むかしなら嬉しかったかもしれないその立場、グラジオが妹の次に、ことによったら妹や家族、パートナー以上に優先してくれる立場。そこにあたしはいま、居るのだから。