【ポケモンUSUM】Close to you【グラジオ】 (ページ12)

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phase.11 ページ12

「……うそ、でしょう？」

「……間違いない」

　バトルロワイヤルでの事件から数週間。無理やりバトルさせちゃったお詫びとしてハウが訪ねてくるようになってから数週間ともいう。グラジオから絶対安静を命じられていたあたしは、彼が持ち帰った情報にあたしは絶句していた。

「コスモッグを持っているのは、リーリエだ……！ハウの言ってた一緒に旅してる女は、リーリエだったんだ！！」

「だって、なんで、リーリエはまだエーテルにいるんじゃ……！」

「俺たちと同じだ、逃げ出したんだ！」

　コスモッグについては、あたしたちの間で定期的に話題にのぼるポケモンだった。それは、この世界に災厄をもたらすもの。ヌルやリオルなんかよりも数倍厳重な檻にかこまれていて、一緒に脱出するのを泣く泣く諦めたポケモン。

　___それを、守るために。逃げ出したというのか！

「どうするの、グラジオ」

「俺は行く」

「……あたしは」

「駄目だ」

「……あたしも行きたいんだけど」

「駄目に決まってるだろ。一歩まちがえば戦闘になるかもしれない。リーリエに接触するってことはつまり、エーテルもう一度関わるってことだからな」

　言って話してくる、とグラジオが言う。渋々引き下がったあたしは、目を伏せた。こういうときに一緒にいこう、と言ってくれるグラジオだからこそ、誘いに答えて外に出たというのに。守ってもらうだけの存在になんてなりたくなかったのに。

「……分かったよ。わがまま言ってごめん」

「……わがままなんかじゃない。俺が、お前を守れないのが怖いだけだ。わがままは俺だ」

「そう？いっつも守ってくれるじゃん、グラジオ」

「……フッ、変な奴。俺を庇ってのろいにかかったのにな」

「ジュペッタを見つけたのはあたしだし。お互い様だよね」

　そんなことより、とあたしはぎりぎりの綱渡りのような会話をぶったぎった。これ以上は、お互いが痛いだけだ。

「リーリエをよろしく、グラジオ。グラジオにとって大切な妹なのはもちろん、あたしもあの子のことは大切だから」

「あたりまえだ。……俺はもう行く。ひとりで、外に出たりするなよ、A」

「わかってるよ」