【ポケモンUSUM】Close to you【グラジオ】 (ページ11)

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phase.10 ページ11

事件は、次の日に起きた。

日課となったポケモンバトル。昨日は流れでやらず仕舞いだったが今日は違う。
お互いのポケモンがフィールドにそろい、先攻をもらったのはあたしだった。

『いってらっしゃい、ルカリオ！はどうだん！』

『跳ね返せ！マルチアタック！』

指示にしたがったルカリオがはどうだんをきめる。きた、とでも言いたげなグラジオに、驚くのと、マルチアタックがはどうだんに直撃して跳ね返るのは同時だった。はどうだんとマルチアタックの複合攻撃が、ルカリオに直撃する。これは結構なダメージが、と思うと同時、激しい痛みが体を貫いた。

まるで、あたしが攻撃を受けたみたいな、

　その場にばたりとたおれたあたしに、グラジオが目を見開く。マルチ、と開きかけていた口は閉じ、ルカリオとヌルと一緒に駆け寄ってきた。

『A！？』

『ぐ、』

　その先は息がつまっていえない。そのまま瞼をとじるあたしに、あせったグラジオがあたしを抱き上げた。あたしの記憶はそこまでだ。

　ジュペッタの最後のわざは、のろいだった。

　何かに対する強い怨念の意思がわざにのり、あたしにかかったのだ。

ポケモンバトルで、自分のポケモンが受けた怪我と同じダメージがあたしの肉体に与えられるらしいこののろい。いろいろと抜け道を探した。

ルカリオに指示するのが悪いのかと思って、勝手に動いてもらった。ダメだった。

自分のポケモンでなければいいのかと思ってヌルを借りてバトルした。指示をしなければダメージを受けなかったが、それはもうバトルではない。ダメだった。

自分のモンスターボールに入っている、及びあたしの指示に従ったポケモンがバトルで受けたダメージがあたしへのダメージ。それが検証結果だ。そして何よりも困るのが、ポケモンとあたしの体力差だった。

ポケモンだったらひんしで済むダメージも、人間のあたしが受けたら死ぬかもしれない。なんだったら、ルカリオが立っていられるようなダメージでも、あたしは死ぬかもしれないのだ！

それに気がついてからというもの、グラジオの過保護が酷くなり、グラジオが自分をさらに責めるようになって、
あたしたちの楽しかった旅は終わったも同然だった。あたしたちは、変わりすぎてしまった。