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「私も、嫌な言い方しちゃったし。お互い様ってことで」
「うん。でも、慎太郎とAがお似合いだなって思ったのは本当だよ?余計なことはしないけどさ」
チアキは慎太郎君の気持ちを知らないから、これはチアキなりの本心なのだと思う。
「ありがとう」
胸はチクりと痛むけど、あの夜みたいに黒い感情には覆わらずに済んだ。
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無事にチアキとの仲直りも済んで京本さんからの快諾も得て、ナツの誕生日祝いはアルビコッカで行われる運びとなった。
普段は先頭を歩くタイプではないのだけど、今日ばかりは私が三人を案内する。予約した時間の少し前にドアを開けると「いらっしゃいませ」と笑顔で迎えてくれたのは樹先輩だった。
「お、来たな」
入店したのが私を気付くやいなや外向きだった爽やかな笑顔が、悪戯っぽさが滲むものへと変わる。
「お邪魔します」
なんて答えるのが正解かわからずそう答えると、樹先輩が笑った。
「お前、他所でもそんな事言ってんの?」
「言いませんよ!」
「そりゃそうか。あ、すみません。準備できてるから案内しますね」
私の後ろにいる三人の方を見てそう伝えた後、樹先輩はスマートに私達を店内に迎え入れる。忙しい時間にお邪魔しないようにと少し早めの時間だけど、店内には数組他のお客様が入っていた。途中慎太郎君の近くを通ったけれど、他のお客様のオーダーを取っていたので私もチアキも声は掛けなかった。だけど一瞬だけ目があって、にこりと笑ってくれた。そんな些細なことが、嬉しくなる。
そうこうしてる内に奥にあるステンドグラスの窓の近くのアルビコッカで一番良い(と私が思っている)席に案内されると、本日の主役であるナツが思わずといった感じ口を開いた。
「わー綺麗!」
「気にってくれて良かった。Aの友達の誕生日だからって店長が一番良い席抑えてくれたんですよ」
「そうなんですか?ありがとうございます」
やはりこの席になったのは偶々ではなく京本さんのご厚意らしい。今度お礼を言わないと。
「いえいえ。……本日のおすすめのご説明をしますね」
にこやかな笑顔と共に樹先輩がよどみなくメニューの説明していく。きっと樹先輩のこんな姿に心をときめかす女性客は多い。
「ちなみに、まあAが解かってると思うけど、一番のおすすめのおすすめはアマトリチャーナです。ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」
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夕色(プロフ) - あずみさん» 長いのに一気読みありがとうございます……!コメント嬉しいです。今後も慎太郎の格好良い所書けるように頑張りますねー! (2月12日 20時) (レス) id: f0afa3630e (このIDを非表示/違反報告)
あずみ(プロフ) - 一気読みしてしまいました…!慎太郎くんかっこよくて最高です!笑 めっちゃきゅんきゅんドキドキしてます!!^^ これからも更新楽しみに応援させていただきますね!! (2月11日 23時) (レス) @page39 id: fffeedeac5 (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ★mmiioo★さん» コメントありがとうございますー!樹先輩については書きたいような、ずっと本当の所は解らないままでいて欲しいような……って感じです! (11月30日 22時) (レス) id: f0afa3630e (このIDを非表示/違反報告)
★mmiioo★(プロフ) - 慎太郎サイドだ!主人公ちゃんを応援したいが、樹先輩も気になる。 (11月29日 6時) (レス) @page19 id: 9bdd0af86e (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ★mmiioo★さん» なんかなかなか煮え切らない展開が続きますがきょも共々生温かい目で見守っていただけると嬉しいです。頑張れ慎太郎!って思いながら書いてます😌。 (11月23日 23時) (レス) id: f0afa3630e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夕色 | 作成日時:2023年10月17日 12時