10話 ページ12
興奮ぎみになにかを掴んだ少年だった。しかし自転車は河へと迫る。
遊真「コツをつかん……どぅわー！」
千佳「わあ！？」
ﾄﾞﾎﾞｰﾝと水飛沫を上げながら少年は河へと落ちていった。慌てた女の子は河へと落ちた少年を助けに向かう。
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遊真「いやー、あぶなかった。せっかく買った自転車が川の藻屑になるところだった。」
女の子が手伝ったことによって確かにコツをつかんだ少年は、女の子へと少し遠回しにお礼を言った。
遊真「でも確実になにかつかめたな。おまえのおかげで。えーと……名前まだ聞いてないか」
そう少年が言うと女の子は、少し間を開けた後に自己紹介を始めた。
千佳「………わたしは千佳。雨取千佳」
遊真「そうか、チカか。おれは遊真。空閑遊真」
端的な自己紹介を済ませた二人は少し仲が深まったような気がした。そして遊真は、満足そうにｯと
笑った。
遊真「チカの服ずぶ濡れじゃんカゼひくぞ」
千佳「遊真くんの方がずぶ濡れだよ」
遊真「そうか？」
千佳「あはは……、そうだよ」
そんなほのぼのとした会話を千佳と遊真が繰り広げていた。川に落ちた本人が一番濡れているよ、と。遊真はさらに会話を続けようとしたが女の子……千佳が何かに反応した。そして勢いよく後ろを振り返る
ｳｰｰｰｰｰｰ
直後、辺り一体に聞こえるような警報が響いた。
遊真「おっ、警報。結構近いな、でも警戒区域の中か……」
そう遊真が呟いた後に千佳が「ごめん、わたし行くね！」と言い残し走ってその場を離れてしまった。一人残された遊真が呟く
遊真「おいおいそっちは警戒区域……近界民がいる方だぞ？」
その声は千佳には届かなかった。しかし、その呟きに何処からか返答が聞こえた。
レプリカ「彼女……警報がなる前に襲撃に気づいていたように見えたが……」
その返答に遊真は驚いた。
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少女が仮眠を取りヒマをもて余していた時にその警報は鳴り響いた。
A「………襲撃。トリオン兵は……バンダーか。玄界の兵士がバンダーを倒しに此方に来るかな？」
少女は倒すか否か悩んだが、また玄界のボーダーに連れていかれるのはご免だと思い、身を隠した。
ｽﾞｼﾝ ｽﾞｼﾝ
大きな音をたて、トリオン兵……バンダーが警戒区域内を徘徊していた。
千佳「………っ。」
____________________
一方、待ち合わせ場所に少し遅れて到着した修は、そこに誰もいないことに戸惑っていた。
修「あいつら……何でいないんだ……！」
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作者名：夜月 | 作成日時：2018年12月9日 8時
