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『言い訳なら聞く』
夜久「言い訳するつもりはないけど、狼谷勘違いしてるよ。」
『勘違い、とは……』
狼谷の目尻を拭いながら、誤解の生まれないように言葉を選んで説明した。
夜久「まずこれね、紙袋。中身の宛名見てみ」
『ん…』
本日家庭科のあったクラスでは調理実習を行ったせいで、大量の菓子が袋に詰まっている。しかしそれは、俺宛ではない。
『狼谷、Aサンへ……ぇ、』
夜久「あの子も、狼谷のファン。」
『な、え…どうして』
夜久「バレーしてるとこがカッコイイらしいのと、あとは…文化祭？」
あんまり思い出したくはないけど、と数ヶ月前のことを話題にあげた。あの時の狼谷、めちゃめちゃカッコよかったんだからな？って。
夜久「俺に対しての差し入れとか告白とか、そういうのは全く受け取ってないよ。」
『……ごめん』
夜久「俺も、その話全くしてなかったからゴメンな」
『でも、なんで夜久にわたしの話が行くの…』
夜久「さ、さぁ…なんでだろうな！」
『………寂しいから、あんまり行かないで欲しいって言ったら、いや？』
か、わ…いい。待って、待って俺の彼女世界一、いや宇宙一可愛い。可愛すぎないか？これ捕まったりしない？可愛すぎの罪で、現行犯逮捕とかされないよな！？
『夜久？』
目は潤んで、頬を赤らめて、上目遣い。マジ、最高。
夜久「タイム」
『何で？』
夜久「狼谷が可愛すぎて、待って。待って、」
『待ってるけど、私も皆も。』
夜久「皆は待たせといていーだろ。で、俺も正直最近狼谷関連の話が多すぎて嫌だ。それに、なんか狼谷と黒尾が付き合ってるみたいな話されてんのも嫌だ。」
『ん』
夜久「今度から彼女がいるじゃなくて狼谷と付き合ってるって言うから、狼谷も俺と付き合ってるって言って」
『うん』
夜久「黒尾には一生やらねえからな」
『あたしにそんな怖い顔されても』
とりあえず一件落着、でいいんだろうか。これからもっと彼女は人気になっていくだろう、女子にも男子にも。
きっと今度は俺の方が、心配で心配で堪らなくなるんだろう
夜久「とりあえず、あの子が狼谷に渡したい物があるって。本当はヤだけど……行ってきたら」
『わかった』
分かったのは、あの女子はバレー経験者でかなりの狼谷ファンだということ。俺の知らない狼谷のことを知ってて、少し悔しかったのは本人には言わないでおく。
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作者名：HAL | 作成日時：2024年3月16日 2時
