繋げ！③【ハイキュー】 (ページ48)

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春高が終わってから程なくして、また日常がやってきた。

その日常が、非日常になったのは一通の手紙からだった。手に取ったこともないような淡いピンクの便箋の表には丁寧な文字で『夜久衛輔先輩へ』と綴られている。

いわゆる、ラブレターというものだ。

男子バレー部が全国大会に出場した事実は、校内であっという間に広まった。

そして俺にもついにモテ期というヤツがやってきた。当然俺のことを好きと言ってくれる子が増えるのは喜ばしいことだ。

昼休みや放課後に呼び出されて、告白をしてくれる。

「好きです、付き合って下さい。」

なんて、使い古されたような言葉で、次から次へと下級生の女子たちが頬を染めながらやってくる。

俺が呼び出しを断らないのは、狼谷と付き合っていることと狼谷以外の子には靡かないことを伝えるため。

そのつもりではいるんだけど、何人かは気持ちだけでいいので。とお菓子の入った小包を渡して去っていく。

それだけなら、まだ良かったのだ………

「やくせんぱい！！！」

夜久「げ、マジかよ…！何で！」

「これ、午後の授業で作ったので、絶対に受け取ってもらいます！！！」

夜久「だからムリだって、俺昼休みに言ったよな？！」

「そこをなんとか、お願いします！」

どうにかやり過ごせないかと思考を巡らせていれば、後ろの方からリエーフの驚いた声が聞こえてきた。

Aさん！？大丈夫ですかっ！？なんて、気になって仕方がない内容。

夜久「ホントにごめん、あいつは俺のだから。
でも、ちょっとまってて。」

目の前の下級生にひとこと告げてから、狼谷の方に戻った。黒尾とリエーフの後ろで蹲って、もしかして……

夜久「か、みや……？」

『いまむり』

夜久「え、待って…泣いてんの？どうした？俺もしかして、狼谷が傷つくようなことした？」

『…は？』

夜久「ごめんね狼谷、お願いだから顔見せて。」

目線を合わせるようにしゃがんで、顔を隠す狼谷の手に触れた。しかし触れようとしたところで狼谷の手に叩かれ遮られる。

『最近、何で夜久が私と付き合ってんのかわかんない』

夜久「何でって…」

『どうせ！！』

夜久「お、おう」

『どうせ、夜久は自分より小柄でショートヘアの女の子が好きなんでしょ！！！』

夜久「ハァ！？！なわけねえだろ！！」

『じゃあ、なんで…最近の夜久はめっちゃモテて、アンタ満更でもなさそうに贈り物とかラブレター貰ったりして…こっちがどんな気持ちかも知らないでっ！』

夜久「落ち着け。ね、俺の話も聞いて」

顔を上げた狼谷はあんまりにも寂しそうな顔をするもんだから、精一杯の優しい声でそう伝えた。