繋げ！③【ハイキュー】 (ページ41)

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『……』ｽｩ

黒尾「ホントに寝た〜」

夜久「あんだけ泣いたら疲れるだろ」

海「満更でも無い顔」

夜久「悪い気はしない」

烏野の対鴎台の試合が始まった頃、狼谷が寝落ちて夜久の肩にもたれかかった。

すっかりボルテージの上がった試合会場の東京体育館。梟谷、狢坂、鴎台、烏野などなど役者は揃った。

試合はどんどん進んでいき、気持ちが浮かんだり沈んだり、手に汗握る展開が息をつく暇もなくやってくる

黒尾「にしても、烏野のチビちゃんは疲れを知らないのかね」

孤爪「ね」

それから各々が試合の行く末を見守って数十分、夜久の肩に寄りかかって規則正しい寝息を立てる狼谷。

夜久は夜久で試合に夢中。けれども狼谷の眠りを妨げないように、微動だにせず声をもらすだけだった。

それから彼女が目を覚ましたのは、第2セットの終盤

『なに今の、すごいねぇ…』

夜久「起きてたのかよ」

『ちょうどいま、目が覚めたというか』

東峰がブロック3枚に対して、吸い込みで1点をもぎ取った場面。

後ろから研磨が「根性(さいしゅうおうぎ)炸裂」なんて呟く声が聞こえた。

『………ん〜』

夜久「どうした？」

『お手洗いいってくる』

思ってたよりリラックスができて、安心からか気持ちが緩んだ。着いてこようとする夜久を置いて、1人でのんびりお手洗いを探しつつ付近を歩いていた。

『(1人で歩く体育館は…凄く広くて、冷たくて、でも結構そんなとこが好きだ)』

道のりに沿って用を足して、また遠回りをしながら席に戻ることにした。まだ試合が終わる気配は無かったし、少しぐらい遅くなってもいいでしょ

『あ』

「ん？」

なんてフラフラした考えでフラフラ歩いていると、見覚えのあるシルエットを見つけた。

『ミヤだ』

「おねーさん、俺のファンかなんか？」

『どうだろ…ファンでは無いかも』

「そうかい」

『あ、でも、プレーは綺麗でしたね、尊敬します』

特に知り合いでもない人からいきなりそんな事を言われても困るか、そう思って軽く自己紹介をして烏野との試合を見たことを伝えた。

『狼谷Aって言います、いきなりごめんなさい』

横に並んでいた双子は、私の名前を聞くなり目を丸くした。もしかして、中学のとき全国出てましたか、って。

侑「俺の方がファンでした……！！！」

治「あんま気にせんといて下さい、コイツやかましいんで」

侑「誰がじゃ！！！」

治「そういうとこやろ」

『ええっと……』

話を聞けば、中学のときに全国での私のプレーを見て侑くんはセッターにもう1段深くハマったのだと。なんてありがたい話だ。