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黒尾「おー、帰ってきたな」
山本「え、Aさんめっちゃ疲れてません？大丈夫っスか…？」
『とっても疲れました』
山本「い、一体何が……」
孤爪「そして夜久くんは試合後だとは思えないぐらいにツヤツヤ。」
山本「ヤメロ研磨…それ以上言うな……」
仲が良さそうで何より。私たちの抜けたあと…と考える必要はなさそうなのは安心すると同時に寂しくもなる。
『引退、か……』
ポツリと呟いた言葉。自分で気が付いた時には既に遅くて、後ろに座っていた研磨や黒尾、横に座る夜久までもが口を挟む。
黒尾「そんな感傷的になるなっておじょーさん。」
孤爪「そうだよ、引退とは名ばかりでスグ顔出すって知ってるからね」
『うん、まあ…プレイヤーに転向するわけだし修行…的な』
夜久「じゃあレシーブ練のメニュー組まなきゃな」
『夜久のレシーブ練はヤだよ…』
やいのやいの言っていると、梟谷の試合が始まると会場が騒がしくなり、着席する人がだんだんと増えてきた。
梟谷対狢坂、どちらも最近は全国大会に出場し続けている強豪校。そんな2つのチームがどんな試合を見せてくれるのかがとても楽しみだ。
『サーブの子、セッター？』
海「ぽいね。はい、パンフレット」
『ありがとう』
調子の良い木兎くんをどう上手く使うかが勝利の鍵になる、と思う。相手の狢坂には木兎くんよりちょっぴり格上の全国3本指のうちの1人がいる。
それに、ここまで上がって来たチームの中で誰か頼みでそこを突けば崩れる。なんて脆いチームは存在しない。
『梟谷は木兎くんが乗ってるとき、必ず一発目に木兎くんでぶち抜いてくるよね』
孤爪「けどそれは、向こうも分かってる」
だからこそ、それをさらに利用して他へトスを上げるのが得策かと考えた。
赤葦くんも、そうした。
黒尾「……げ」
『ブロック3枚……』
夜久「いきなりか」
『ってことは、赤葦くんが尾長に上げることを読んでたってことだよね』
なんだか、気味が悪いと思った。けどこれはただの悪口とかじゃなくて褒め言葉として。
そして裏をかこうとした梟谷とは逆に、狢坂は普段通りのエース頼みの攻撃。3枚ブロックをものともしないパワー。
思ってる何倍も何百倍も何全千倍も頑張らなきゃいけないけれど、あの空中姿勢はいつか私のプレーの参考になるかも。
女子だし筋肉が少ない分、体重を乗せてパワーを上乗せする。やはり重心の位置が大事、なんだろうか……
『あーでもダメだ。ご飯食べたばっかだし、頭使ってたら今度は眠気が…！』
夜久「寝ていーよ」
『う、ん…限界になったら肩借りる』
それまでは、一瞬も見逃したくない
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作者名：HAL | 作成日時：2024年3月16日 2時
