繋げ！③【ハイキュー】 (ページ34)

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研磨が何かを呟いたあとに翔陽が喜び、黒尾が笑った。

何となく、研磨が何を呟いたのか想像できるような気がした。コートの中の全員にも聞こえていない研磨の言葉、いつか私も聞けたらいいな…なんて。

孤爪「瀕死の勇者を回復して戦わせて、時には戦闘不能を蘇生して戦わせて……おれ、これからはもうちょっと勇者にごめんねって思って戦おうと思う」

福永「大丈夫。バレーではあんまり人死なない」

孤爪「ふ」

音駒高校、2回目のタイムアウトのときに研磨と福永がそんなことをいう。相変わらず研磨のツボはわからないしアンタたち仲良いね。

あと5点、4点、3点……休む隙なんてまるで与えてくれない。味方も、敵も。

烏野は変わらず多人数でのシンクロ攻撃を繰り返し、音駒はそれを拾い続ける。

『あ"！』

落ちるな落ちるな、繋げ。両の手を握り締めて祈るように見守っていると、それを嘲笑うようにツーアタックをかましてくる両校セッター

日向「オープン！！！」

またこれ、今度はブロックアウトで点を取られた。あと、1点。

音駒21対烏野24、ここで影山くんのスパイクサーブ

虎が拾い崩れたところに龍がダイレクトで返し、それを防ごうとブロックについた研磨、リエーフの2人。だったが、リエーフと衝突し研磨が吹っ飛ばされた。

灰羽「うわあああ！？研磨さん！？！」

『リエーフ前見て！！』

けれど、それを私が言うまでもなかった。

孤爪「バカ！！！ボール！！まだ落ちてない！！！！」

そんなに必死な顔する研磨、初めて見た。

繋げ、繋げ。1球でも多く、相手よりたくさん繋げ

ここまで来てはもう祈るしかなくて、お互い本当に死ぬ気で繋いでいる。なんとか突っ込んできて夜久が返したそのボールを、ダイレクトで叩こうとする翔陽をリエーフがブロックした。

こんなとこにきて、こんなに綺麗にチームワークがハマるってさ、泣かせる

『(落ちない、落ちてよもうっ！！！)』

1番辛いのはアイツら、コートの中にいる、みんな

「「「チャンスボールッ！！！！」」」

海には見えているんじゃないかって思うぐらいにコースに綺麗に入り、龍の渾身のラインショットを高く上げた。

あれ、昨日の試合でもやってたもんね。たとえ龍がクロスに打ったとしても、夜久があげてくれるもんね。

『ナイス、レシーブ……』

高く高く上がったボール。海のレシーブにどよめいていたハズの東京体育館だったが、どうしてか周りが静寂に包まれたような気がしていた。

ﾄﾞｯ

「汗、ですねえ……」

酷くスローモーションで、目の前の情報を処理するのに頭の中がいっぱいだった。