繋げ！③【ハイキュー】 (ページ27)

今日:8 hit、昨日:64 hit、合計:58,787 hit

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試合が始まるまであと少し、ベンチに飲み物とタオルを積み終えて主将同士の握手を見守った。

ついに今日は烏野との試合、ゴミ捨て場の決戦だ。

「おっしゃあ、いつもの！！」

黒尾「狼谷！」

『ん？』

黒尾「お前も入れよ」

『えっ！』

本当に試合開始直前。いつものように円陣を組もうとした彼らに場所をあけようと1歩ズレると、黒尾が私も輪の中に入れと言ってきた。

『いやでもっ』

山本「いいからっ、入りましょ！」

『わっ！』

バレてたの、かな。実はこれ、結構好きなのだ。

けど言っていることが好きとかではなくて、みんなで円陣を組んで私たちのバレーを体現するような言葉で喝を入れる。

「俺たちは血液だ、滞りなく流れろ。酸素を回せ」

「脳が正常に働くために。」

そう、この感じ。一気に空気がパリッと、引き締まる。

いつもと違うのは相手が因縁の烏野ってこと。でもそれだけじゃない、それだけじゃなくて、いつもよりみんなが凄く楽しそうに見えた。

全国の舞台でこんな贅沢、他にないよ

黒尾「マネージャーからは激励の言葉はねえの？」

『え、』

黒尾の言葉に、みんな一斉にこちらを向いた。気まずい。

でも、ここで言うとしたらもうこの一言しかないよね

『思いっきり楽しんで、それでいつも通り勝とう！』

「「「おう！！！」」」

始まって欲しく、ないかも。

だって試合が始まったら、必ず終わりが来るから。もう段々慣れ始めた、全国の舞台での試合開始の笛が鳴って初っ端から強烈なサーブが襲いかかる。

『ナイスレシーブ！！』

「ナイッサー！」

「ナイスキー！！！」

烏野も音駒も、ベンチからも観客席からも気合いの入った応援が聞こえる。一球一球に他とは違うぐらいの熱が入って、落としてなるものか、という執念さえ感じられる。

『うわ……』

旭くんのスパイクに吹っ飛ばされて尻もちをつく夜久。どれだけレシーブ力が高くとも、やはりそれだけの体格差では力負けして体勢を崩す。それでも拾うのが夜久の凄いところだ

どちらも1歩も引かぬ展開に、ヒリヒリするような緊張感がこちらまで伝わってくる。

猫又「ふぅん……雑食も雑食。よりでっかい相手を喰らって育ってきた」

『でもそれは、私たちも同じです』

猫又「そうだねぇ」

今日の監督は、いつもより楽しそう。少なくとも昨日よりはウキウキなのだろなって思った。

試合の方に視線を戻すと、またまた烏野の攻撃を音駒がダイレクトで返球、というような形になっていた。

あれだけ攻撃力のある烏野に対してここまで食らいついている彼ら、きっと今日の調子は良好だろう