繋げ！③【ハイキュー】 (ページ23)

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「…さん、Aさんっ！！」

『あ、ぇっ、ごめん…なに？』

「いえ、ぼーっとしてたので…ちょっと心配になっちゃって。あの、今のプレーって…そんなに、？」

『うん、思わず見惚れちゃった。』

驚いたというか、高校ナンバーワンセッターと呼ばれる男はここまでなのかという気持ちの方が強い。

『普通なら、あの場面はアンダーでレフトに高く上げるっていうのが定石なのね。』

「えっと、影山くんもたまにやってるやつですかね？」

『そうなのかな…でも、今の宮侑は素早くボールの下に潜り込んでオーバーでセットしたよね』

「はい……今のって、そんなに凄かったんですね」

仁花ちゃんが納得するように言葉を選んでみて、それがどうやら彼女にも伝わったようで安心する。

『まるでセッターの鑑だね。』

「ぇ……」

『あぁ、私もここに来て、宮侑のプレーを見られて、良かった。』

「……！」

ビクリと肩を震わせた仁花ちゃんに気が付いて、改めて謝った。けれど、そんな洗練されたプレーがあるのも一瞬、すぐに次のプレーがやってくる。

向こうにとって良い流れのまま稲荷崎はピンチサーバーを投入し、そのまま流れを掴む。

谷地「あ、タイムアウト…
この場合は、サーバーの調子を切るために物理的に流れを切るんですよね！」

『うん、そうだと思うよ』

谷地「でも、どうなんでしょう……このままじゃ…！」

『仁花ちゃんはどうだと思う？』

私から言及はしない。だって私たちは、どちらが勝利しても驚かない。

谷地「……勝ちます！！！私たちが！」

『よく言った！』

握った拳を見たら、若干震えてる？

怖いよね、緊張するよね。心細いよね。コート内にいるみんなは最前線で戦っているのに、自分はこうして外から見守ることしか出来ない

依然試合は拮抗したまま、稲荷崎13点と烏野12点の烏野高校が追いかける展開。

宮治の強烈なサーブが打たれて、烏野陣営の体勢が崩れた。

そのまま稲荷崎の攻撃が、繰り出されるの……だが…

『……！？』

背筋が凍るような、ゾクゾクする感じ。それは興奮だとかの類ではなく、漠然とした恐怖。

谷地「な、なに…これ……」

「なんとスパイカー宮治からセッター宮侑へのセットアップで、マイナス・テンポの攻撃を繰り出してきました！
宮ツインズ恐るべきコンビネーション！！！」

『こ、これ…翔陽と影山くんの……』

全然知ってる攻撃ではあったのに、それをまさか相手が繰り出すとは思わなかった。

それは、烏野陣営の心を折るには十分すぎるだろ