繋げ！③【ハイキュー】 (ページ22)

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谷地「あ、あの……今入ってきた人…っ！」

『だね。向こうの空気に緊張感が走った』

いい感じに入るサーブも、ブロックアウトになりそうなボールも、向こうの1番が全部拾う。

『(さっきまでブレイクできていた場面で、出来ない。これは知っている…凄く、嫌な感じだ。)』

谷地「山口くんのサーブを拾われてから、もっと稲荷崎のペースに呑まれていってるような感じがします……」

『だね。』

結局その後も稲荷崎の勢いを止めることが出来ずに、2セット目はかなりの点差で取られてしまった。

『うん、流れが悪すぎる！』

それはもう、笑っちゃうぐらいに悪い。けど、コート内の彼らを見ている限りはまだまだ大丈夫そうだ。

「最強の挑戦者稲荷崎！未知の古豪烏野！
頂きに近付くのはどちらなのか？！運命の第3セット、宮侑のサーブから始まります！」

『(ここ取れ、絶対に1本でサーブ切れ…！)』

宮侑から放たれた放物線は、ふわりと烏野コートに落ちた。

夕や澤村くんのアウトの声に、私もそう思ったからナイス判断！なんて心の中で言っちゃった。

のに、烏野のコートに落ちたのだ。

『ローテ回してきたし、烏養コーチ的にも何か策があるのかなって思うんだけど…』

谷地「あ、もしかして……！」

『そのもしかして、だよ』

稲荷崎エースのスパイクに大きな壁を作った烏野、仁花ちゃんも気がついたみたい。

『おぉ、やっぱりドシャット決まるとアガるねぇ』

谷地「はい！！！影山くんはついついそのセットアップに目を奪われがちですが、いざ隣に立つといっつも大きいなって気付くんです！！」

『いくつだっけ、身長』

谷地「春高用のパンフレットに載ってるのは180.6cmです！」

『ってことは、私と5cm差…か、凄いなぁ』

谷地「てことは、A先輩は175…？ですか？」

『うん、春高前に私も一緒に測ったらまた伸びてた』

谷地「す、すごいですねえ！？」

『ね、大学からは高さがあればあるほど良いし、私も嬉しい……あ、また来たね。』

谷地「山口くんっ！！」

『ここでピンサー入れてくるんだね』

山口くんのサーブで相手のエースの体勢を崩して、こちらのチャンスボールになる。そこからはお得意の多人数攻撃。

『やっぱ、何回観てもダメだね…全然分からん』

影山くんのトスワークはいつ見ても綺麗で、多少無理を強いられてもどこに上がるのか全然分からない。

けど、そんな考えはすぐにどこかへ消え去った。

『…………は、』

シンクロ攻撃で相手のリベロが辛うじて拾った2打目、軌道は低く誰もがアンダーで上げると思ったその時、宮侑は素早く入り込みオーバーで速攻を使ってきたのだ。