繋げ！③【ハイキュー】 (ページ19)

今日:40 hit、昨日:24 hit、合計:58,755 hit

119 ページ19

*

『ナイスレシーブ！！！』

「ナイスレシーブ！！」

試合は長引いて、いよいよ2セット目でデュースになる。

2セット目終盤で音駒側の守備陣が恐らく慣れてくる頃だと思う、そしたら早流川の方は勝ち急ぐだろう。で、その隙に連続得点から勝ちをかっさらうのが1番の近道だと思う。

『(そういう作戦、だったのに………！)』

ずっとナイスレシーブ！という掛け声ばっかり。決定力に欠けると言われるのもしょうがないけど、それが私たちの良さだから

でもね、私たち守りの音駒が粘りで負ける訳にはいかない

「守備も固いもの同士、1歩も譲らず！コートの緊迫が実況席まで伝わってくるようです！」

しんどいだろうな、特に研磨。あぁ怒ってる。苛立った顔をしている。あの研磨の集中が切れてきているように見えた、これは中々珍しいことなのだ。

そうして監督が控えから1人を呼ぶ。手白球彦、彼は1年生で控えのセッターだ。本気で変えると思ったが、今日の私もノっている。運良く一瞬でその思惑を理解した。

猫又「身体、温め直しといて」

けれど本気で研磨が動けなくなってからじゃあ遅いだろう、球彦に声を掛けてから冷静な彼は静かに頷いた。

黒尾「ワンチ！！！」

疲労も溜まってきた終盤、あともう少しで勝ちが見えてくるところまできた。あぁ、どこまでもコイツらのバレーは丁寧。

どんなオーバーワークも、失敗も成功も、根性のひとことで現していた虎。

ただ暑苦しくて周りにもそれを強制してくるような面倒な奴かと思えば決してそんなことはなくて、バレーボールに対して真摯で、繋げることを第一に考えているように見えた。

虎は見た目によらずプレーは丁寧だし、グイグイ行きそうに見えて誰よりも慎重で他人のことを考えているようなヤツ。

虎のレシーブから早い真ん中、やっぱり怖いところはそっちからだよね。

「おおっとここでブレイク！！！均衡を破ったのは音駒高校！」

『………っし！』

それでも相手との差が広がることも縮まることもなくて、第2セットは30点台に乗った。

あと一点、あと一点！

ドキドキ、心臓がどんどん早く脈打ってきてペンを握る力が強くなる。ラスト一点が遠いのは分かってる、けど、行ける。

なんか、そんな感じがした。

『ぁ…！』

その答え合わせが出来たのは、研磨が素早く動いたとき。

普段からほとんど見せてくれない極小モーションからのセットアップ。

そんなに驚くことでは無いだろうけれど、やはり研磨なのだ。私だけじゃなくて監督や虎、黒尾までもが驚いていた。

音駒高校、2回戦勝利