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『うううん、寝癖が……』
取れない。
朝6時から格闘してるのに、全然ダメだ。結んだら変に飛び出るから今日はもう髪を下ろしていこう。
山本「Aさんおはザッス！！！」
『虎おはよ、早いね』
山本「だって今日から試合じゃないですか！！気合、入りまくりっす」
『頼もしいね』
春高は合宿や遠征の時と違って、座っていてもご飯が出てくるから嬉しい。朝はヤツらの姿を見ると頑張れるのはそうなんだけど、それでもやっぱり眠いから
孤爪「隣座ってもいい？」
『ん、おいで』
珍しくみんなと一緒に手を合わせて食べる朝食はいつもより味が濃いような気がして。それに、皆とこうして食べる朝食も、あと数回しかないんだ、そうやって考えたら目頭が熱くなった。
黒尾「飯食ったら荷物まとめて、開会式のあとまた昨日みたいに体育館で調整、その後試合な」
「「「はい！！！」」」
黒尾「清川の対策は昨日きっちりしたし、いつも通り行こうや」
『……わっるい顔』
孤爪「ね、俺は少しだけ向こうのエースに同情する」
『アンタが1番悪いでしょうよ』
そういえば、春高のトーナメント表。
1回戦清川を終えたあと、無事に2回戦を勝利してそして、向こうも同じだけ勝ってくればついに3回戦で因縁の対決が行われるのだ。
それを思うだけで、ちょっぴり楽しみ。
『(でも、それはまず目の前の試合を勝ってから。
けどそれを分かっててもどうしても気になっちゃうんだよね)』
なんせ、烏野2回戦の相手はシード、今年のインハイ準優勝の稲荷崎高校。まあいわゆる、優勝候補と言われるヤツらだ。
黒尾「狼谷、そろそろ行くぞ」
『うん』
黒尾「狼谷走らせることになるから忘れ物するなよ」
『……私は別に大丈夫だけど』
夜久「いやダメだろ」
みんなで並んで体育館への道のりを歩いていた、こんなに集団で広がって歩くなんて邪魔になってるよね。そんな呑気なことばっかり考えて、自分も緊張しているんだってことに気が付いた。
『(頼もしい背中)』
ユニフォームに着替えて、入場の準備が整ったチームメイトは緊張を解すためかそれとも通常運転なのか、みんなして自由に時間を過ごしていた。
夜久「緊張してんのか？」
端の方で座っていたら、夜久が隣に腰掛けてくる。ちょっとまた違う意味で緊張するのですが…？
『うん、多分…してる』
夜久「手ぇ冷た。狼谷は緊張すると冷えるタイプなのな」
『う、ん…』
夜久「ま、大丈夫だろ！」
あっけらかんと言い放つその姿は楽観的とも捉えられるけど、それ以上に夜久が言うなら大丈夫か、なんて。
おかげで緊張も段々解れてきていた
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作者名：HAL | 作成日時：2024年3月16日 2時
