繋げ！②【ハイキュー】 (ページ34)

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「本日13:00から第1コートで行われます、宮城県代表、白鳥沢学園高校対〜〜〜、第3コートで行われます東京都第1代表、梟谷学園高校対〜〜〜」

そんなアナウンスを聞きながら丁度よさそうな席を確保する、最前列ではないけれどかなりコートが見やすい位置だ。

ちなみに高校バレーファンの母は最前列を確保している。

『あ、若利たち出てきた。飲み物買いに行けないかなぁ…』

今年の若利の試合を生で見るのは初めてだ、もしかしたら春高で当たるかもしれないし、今のうちに見ておいて損はないよね。しっかりと対策も立てておきたいし、もしかしたら私が参考にできるものもあるかも！

なんて、思っていたタイミングもありました。

『(あんな変なブロック、無理に決まってる。そんなんフロアディフェンスしにくくなるしリベロの邪魔に…)』

前から天童サンのプレーはビデオで見てたけど、やっぱり生で見るとまた違う。実際はもっとイカれてる。

で、前髪兄弟の多分、弟の方は1年生ながらスタメン入りを果たしたと評判だった。ここから見る限りでも若利に比べて表情がコロコロ変わっていて、何やら可愛らしい子のように見える。

『(プレーは可愛げの欠片もないけど、あの子はきっと強くなるだろうな…烏野はこれを倒そうと……)』

ペナルティまみれの合宿を思い出して、さらに頭を抱える。

確かに私もゴミ捨て場の決戦を自分の意思でやりたいと思えるほど烏野高校との絆が出来たし、アイツらには勝ち上がってきて欲しいと思う。

けどそれは同時に、白鳥沢に勝ちを譲ってもらう必要があって、若利が最後の大会に出られないことになる。難しい2択だと思った。

若利には負けて欲しくない、だけど私は、私達は烏野と全国の舞台で試合がしたい。それで、勝ちたい。

あの何をしでかすか分からない烏野が白鳥沢を倒せるのかと聞かれたら以前の私は首を横に振っていただろう。だって、圧倒的に白鳥沢が強いから。

けれど彼らと一緒に練習するようになってから、その考えは少しずつ変わっていった。

少しでも気を抜くと置いていかれてしまいそうで、どんどん進化する烏野に置いていかれる訳にはいくまいと練習に励むチームメイトを見てきた。

どっちにも勝って欲しいけど、勝つのはどちらか1人。私にはそれをどうすることを出来なくてもどかしい気持ちだけが胸の底にたまっていく。

その気持ちは、若利が出る試合と梟谷の試合を見れば見るほど募っていった。