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「って感じでいいかな、球技大会の競技分け。」
そう、黒尾たちにまんまと嵌められて、私はバレーボールのメンバーとなってしまった。
別に嫌なわけではない、バレーボールは好きだし。
けど、黒尾たちにまんまと嵌められたあの感じが嫌というか、もっと自発的にやりたかったという気持ちはある。
夜久「お、狼谷バレーボールん所に入ってんな!」
『そうだよ、全体の希望取る前にまずボクと狼谷サンはバレーボールで、って言ったんだよ』
黒尾「いい仕事しました」
ドヤ顔してる、腹立つ。
『ちょうどいいし、サーブ練習でもしようかな』
黒尾「サーブ練付き合うぜ」
『ボール出しってこと?』
黒尾「辛辣!!!」
今年は音駒も春高には出ないから、来年までの基盤作りがメインになっていた。だから部活後の自主練タイムに混ぜてもらうことぐらいは出来るだろう。
そうして、順調に球技大会まで時間が過ぎていった。
ただひとつ、順調じゃない部分もあった。
私が男子バレーボール部のマネージャーになってから感じていた、何となくの違和感。それが確信へと変わってしまった。
『……どーしよ』
教科書がない、とか教科書のページが破られているとか、長袖のジャージがないとか。これは。
『(今どきこんなことする人いるんだな)』
不思議と、悲しくはなかった。
夜久「んー?お前最近忘れ物多くね?」
『まあ、勉強頑張ってるから』
夜久「俺は別にいーけど。
ってか狼谷この前半袖じゃなかった?ジャージは?」
『紛失』
夜久「はぁ!?馬鹿なのか!!?
東京の寒さナメんな、俺の貸すから!」
『いーよ、夜久が寒いでしょ。』
夜久「俺は鍛えてるから良い!」
『うーん、夜久のだとちっちゃくないかなぁ?』
あ、これか。
夜久は何だと!?!ってブチ切れながら思い切り自分のジャージを押し付けてきた。有難く受け取ったのだけれど、ここでようやく自分を睨む視線があることに気がついた。
まあでも?私全然気にしてないので?
寧ろ嫌がらせするみたいに有難く頂戴してその場で着た。流石に私に嫌がらせをしてくる人達も夜久のジャージなら捨てられないだろうからね
『………と、思っていた時期がありました。バカだな私は』
その授業は暖房がしっかりついていたからジャージを脱いでから休み時間にお手洗いに行った。そして、帰ってきたら夜久のジャージが無くなっていた。
『(夜久のジャージが無くなれば、私が夜久から嫌われると……思われたのか)』
多分だけど、夜久と私の仲はこれぐらいで悪くなるような関係じゃない。海も黒尾も。
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ゆめの(プロフ) - 投稿頻度凄い高くてうれしいです!頑張ってください〜⸜(*´꒳`*)⸝ (2月27日 1時) (レス) @page28 id: 98dd5cf759 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:HAL | 作成日時:2024年2月23日 4時