25 ページ25
「稽古って、何すんだ」
ぶっきらぼうに聞いてきたのは爆豪勝己という名の男の子、ヒーロー名は大・爆・殺・神 ダイナマイト
『何って……なんだろう。私はエンデヴァーの言ったことに従うだけだよ』
「エンデヴァーと仲良いのか？」
『それほどでも』
そんな言葉に表情を変えた人間が、この場に数人いたことは私は知らない
エンデヴァー「A、いいか。」
『あ、うん。今行きます』
名前で私のことを呼ぶ彼に私が慣れていたせいで、そのときの違和感には気が付くことが出来なかった。
『まだ確定では無いけれど、私の配置は恐らく最前線ではないと思うの。予想は雄英にいる民間人の護衛』
「あぁ、確かにそうなるだろう。
顔が知られている分、民間人の安心感も得やすいだろうからな、頼んだぞ」
『雄英バリアのことを詳しく教えて欲しい。あと何か鍛える道具あったら貸して！』
「鍛える道具……は、これでいいか？
俺が以前使っていたものだからAには重いかもしれんな
雄英バリアについても、そうだな。近々校長にアポイントを取って雄英に行くか」
『うわ、重そうだなぁ。ま、いーや。これ借りるね！
で、雄英連れてってくれるのね、了解！』
「全く。俺を顎で使うのは今ではお前ぐらいだぞ」
嬉しそうに、見えてしまった。
『それ、どういう意味ですか、ナンバーワン？』
皮肉もこめて、私は嫌な女にならないといけないな。
もう何十年も前にこの初恋は置いてきたはずではないか、今回揺らぐとは思っていたが、まさかここまで自分が未練タラタラだと思っていなかった。
「心地がいい、何年も前に……あの頃に戻ったようだ」
『炎司くんがそれを言っては、いけないよ。ね？』
「そう、だな。そうだよな」
ズン、と重たい空気になるのは嫌だ。
だが彼には彼の背負うべき運命や責任があって、ナンバーワンヒーローで子の父親というそんな立場にいて、今の彼はそこから目を背けることはもう許されないのだ
『さー、筋トレ筋トレ。頑張ろ』
「俺に出来ることなら力になるから、何でも言え」
『ありがと。
でも炎司くんは後進育成を頑張って頂戴よ、あたしはあなたと同い年。もうすぐ引退だよ〜
個性使って見た目誤魔化せてはいるけど、いつまでもつかわからないし、ね！』
久しぶりに会った彼には、顔に痛々しくて大きな傷跡が出来ていた。
でもそれは彼のおこした火の不始末が原因で、それはもう日本中が知っている事だ。今更私から話題にする理由なんてない
『雄英、行く日決まったら連絡ちょうだいね、今日は帰る』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 58人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：HAL | 作成日時：2023年12月29日 7時
