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「お客さん、どちらまで?」
『〜〜の市民体育館まで、なるべく早くお願いします。』
「今日はバスケットの試合があるんでしょう?
ちょうどそっちからのお客さんを乗せてきた所なんだよ」
私は今日はみんなとは別行動、もうひとつの会場で行われている決勝リーグの様子を見に行ってこい、と先生から直々に言われた。
『(陵南てことは、仙道さんの試合が見れるんだ...)』
久しぶりに彼のバスケットを見るものだから会場が近づくにつれて段々ドキドキしてきた。
今から告白でもするのかってぐらい心臓バクバク
ワァァアアアア !!!!
会場に到着すると、楽しそうな声援が体育館の中から聞こえてきて、私もそれにつられるようにしてコートを見た。
『……圧倒的』
到着したのは大体前半終了間際のこと、ベンチの顔ぶれを見たところ恐らく陵南は主力を温存している。
それなのに、この時点でダブルスコア以上の点差を付けて勝っていたのだ。
上から眺めていただけだったけれど、仙道さんもベンチに座っていてなんだが拍子抜けしてしまう。
『(いかんいかん、確かに陵南は強いけど武里だって
油断はせずにしっかり見ないと…』
手のひらサイズのメモ帳に各選手の特徴を適当に書き出す、気になったとこがあったらまた書く。
そしてその間に試合のスコアを書いていく。
『……陵南の、あの人誰だろう。』
スコアを書いていくうちにみるみる増える13という数字。
『4番は魚住さん、5番は池上さん、6番は越野、7番は仙道さん……』ブツブツ
『8番が植草クン、うーーんっ、わかんない誰だろうあの13番……』
試合の様子を見るに、越野や仙道さんと楽しそうに話しているから恐らく2年生なんだろうけど、本当に彼の情報が一切無い。
『(……来てよかったかも。)』
武里に関しては、特に目立った問題は無いと思う。
苦戦はすれど向こうは湘北をなめているという事が分かったのでもうそれで十分だ。勝てる。
「あれ、アナタ確か……?」
試合は思っていたよりもスグに終わり、また私たちの試合をしている会場へ戻ろうと足を進めた時、見覚えのある女性に声を掛けられた。
『……?どちらさまですか?』
「私、こういうモンです
前に取材したような気がして、アナタ湊Aさんよね?」
なんと、数年前に私を取材してくれた記者の方が私を覚えて居たのだった。
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作者名:HAL | 作成日時:2023年2月3日 2時