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水戸 side
三井サンに呼ばれてセンパイの元へと来た。
「Aセンパイ、大丈夫だよ」
さっきまでの苛立ちはとっくに消え去り、今はただ目の前の彼女を落ち着かせることだけに集中していた。
三井サンに何があったか聞こうと思っていたがリョーちんが連れて帰っちゃったからな…また明日にでも聞けるか?
『結構大きな地震だったからね、驚いちゃったの。』
水戸「へ」
『あれ、てっきり何があった?って聞かれるかと思ったんだけど』
眉を下げてばつが悪そうに話していた、何かを隠しているんだろうと言うことだけは分かった。
『さ、帰ろっか!
洋平くん、走らせちゃったみたいでごめんね』
まだ少しフラフラしてるのに家まで帰ろうとする
どんだけ強がりなんだろう、この人は。
水戸「俺はセンパイが辛い思いしてたら何処までだって走ってってやるさ」
『もう、洋平くんたら。
そういうのはもっと大切な人に言わなきゃダメだよ?
すぐ荷物纏めちゃうから待っててね。』
きっと分かってないんだろうな
水戸「カワイー箱だね、チョコ?」
大事そうに棚に置いていった小箱を手に取ったAさん、見たことのある目をしていた。
『うん、さっき三井さんがくれたんだ
あ、でも三井さんの言ってたとおりにいくと洋平くんにもあげないと。ほら1個お食べ!』
そう言いながら蓋を開けてこちらに差し出した、どうやら先日の不良に絡まれてしまった際のお礼らしかった。
その日は三井サンとしっかり話したからここで貰っちゃうのはなんか申し訳なかったけどセンパイのご厚意だしな。
水戸「ありがと」
『おいしい?
私、このチョコレート大好きなんだ!』
いつも近くで見てきた友人と同じ瞳、同じ表情、同じ声のトーン
何もかもが重なってしまって、顔を覆いたくなる。
『三井サンに、謝んなきゃな……』
また、悲しそうにつぶやいた。
水戸「なぁ、三井サンってさ。」
『うん?』
気になっていたことを、聞いてみる。
どんな返事がかえってくるかは分からないけど、本人の口からそれを聞いたことは無かったから。
水戸「三井サンってAセンパイに何があったか知ってるの?」
気付かないぐらいの一瞬、センパイは肩を揺らして俺の顔から目を逸らした。
『リョータから聞いたって言ってたよ。
だから、何があったのかは……知ってるんじゃないかな』
なあ先輩。
どうしてそいつの事を庇うんだよ
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作者名:HAL | 作成日時:2023年2月3日 2時