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三井 side
自分の腕の中で震え、俺から距離を取ろうとする後輩。
「何やってんすか、三井サン！！！」
心配や混乱でごちゃごちゃしていた頭は生意気な奴の声で晴れる。
三井「宮城、何って……
地震で上の雑誌が崩れてきてたから、」
宮城「ンな事聞いてねえよ、Aのカオしっかり見ろ！！！」
そんな言葉にハッとして腕の中の彼女のを見るとすっかり怯えきっていた。
言葉も紡がず、ただひたすら震えている。
宮城「どーしよ、アヤちゃんは今ダンナの付き添いで居ねえし……
っ、そーだ！三井サン、花道の友達のあの子呼んできて！」
桜木の友達のあの子？もしかして……
三井「桜木の友達って、水戸か？」
宮城「そー、ソイツ！
さっき下で見たからまだ学校内にいるはず！！早く！」
気まずいな、前に竜たちに絡まれた時にもしっかり絞られてそれからまだ時間経ってねえっつうのに。
しかしそんな事も言ってられない、注意してくる先生たちは無視して校舎内を走り回った。
三井「いたっ、あの金髪！
っ、おい、水戸！！！」
桜木軍団のソイツらは息が上がっている俺を見て笑っている、ンな場合じゃねえっつうのに
水戸「三井サンじゃん、どしたの？」
三井「っ、ﾊｧ……み、湊が…！」
水戸「湊？
……もしかして、Aセンパイのこと？」
三井「あぁ、そうだ…っ、」
水戸「今、センパイ何処にいるの。」
Aの事と分かると、一気に水戸を取り巻く空気感というか、雰囲気が変わる。いつかの事を思い出す。
三井「バスケ部の、部室…」
水戸「わりー、お前ら先帰ってて。
で、三井サンは一緒に来てもらうから」
三井「あぁ。」
ダッシュで部室に向かった水戸、アイツ意外と足速えんだなとか思いながら後を追った。
-部室-
水戸「Aさんっ！！」
『洋平、くん？』
再度部室に戻ると、Aは変わらず怯えた顔をしている。
宮城が落ち着かせようと試みたみたいだが、無理だったようで水戸と交代した。
水戸「俺がいるよ、大丈夫。」
水戸は、先ほど俺に向けた表情からは想像もできないほど優しい声で湊と目線を合わせた。
俺たちとアイツらの間には明確な、深い深い溝があるようだ。
三井「(そりゃあ、そうだよな。)」
宮城「悪ぃな、俺らは帰るわ。」
水戸「スイマセン、そうして貰えると助かります」
宮城「三井サン、帰りますよ」
三井「あぁ。」
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作者名：HAL | 作成日時：2023年2月3日 2時
