4 ページ4
湊A、2年の春。
ピンポーン !!!
『っ!!!?』
恐る恐る、覗き穴から来客の顔を確認した。
最近は来客が怖くて、人と会うのも拒んでいた。
けれど彩子だけは毎日毎日家に来てくれる。
私が学校に行かなくなってから早2週間、来る日も来る日も家を尋ねる彩子に申し訳なくなりついにその重たい扉を開けた。
「久しぶり」
心配そうに眉を下げ、でも優しく話してくれた。
「まだ辛い?」
『.....』コクリ
中学生の時からずっと一緒にいた彩子でさえ、心做しか、話すことも難しく感じる。
『(彩子でこうなら、他のみんなはどうなっちゃうんだろう.....)』
「活きのいい1年が入ったよ!
桜木花道って言うんだけどさ、あの赤木先輩とバチバチで!ほんっと面白いんだから!!
...それに、流川もアンタに会いたがってたよ」
それでも私の心配を他所に彩子はいつも通り明るく振る舞う、それがどれだけ私の心を軽くしてくれてるかなんて、目の前の彼女はきっと知らない。
『外、出れないの』
何度か外出しようと試みたことはある。
けれどドアノブに手をかける度に動悸が早くなって呼吸が浅くなる。
外へ踏み出すとあの日の光景がフラッシュバックして、バスケットのコートを見ると吐き気を催す。
『本当に、またあの場所に立てるのかな.....って』
彩子「.....そろそろリョータも戻ってくると思うんだ。」
目を伏せて教えてくれたのは、同じクラスの宮城リョータについて。
リョータは彩子のことが好きで、いつも私が板挟みみたいになっていたことを思い出す。彼は不良集団に絡まれてリンチされてしまったとか、その後バイクの事故を起こして最近まで入院していたらしい。
彩子「安西先生もね、よく顔を出してくれるのよ。
Aに早く会いたいなって言ってたわ。」
『ん、』
彩子「何かあったら、アタシが何とかする。
それに流川や赤木先輩、安西先生だっているんだし、アンタが心配するほどあの場所は危険じゃあ無いわよ」
そんな言葉に、私の心には少し光がさしてきた。
頑張ろう、と。
『(諦めたら、そこで試合終了.....でしたよね、ミツイさん。)』
いつか言われた言葉を思い出し、周りの力を借りながらも頑張ろうと心に決めた。
『私、また部活戻れるように頑張る。
.....から、彩子の力も貸してほしい...な。』
精一杯の勇気を振り絞って伝えてみた。
160人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
HAL(プロフ) - ネコさん» ネコさんありがとうございます…、気づいた時めちゃ声出ました、、音で覚えてちゃ行けないですね……!!! (2023年1月28日 14時) (レス) id: dd7884e58b (このIDを非表示/違反報告)
ネコ - いつも楽しく読ませてもらっています。面白いです、藤真さんのまは、真じゃないでしょうか?間になっていますよ。更新楽しみにしています。 (2023年1月28日 11時) (レス) id: 424c5bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:HAL | 作成日時:2023年1月21日 19時