77. 私の ページ43
《土方 サイド》
(何だったんだ……アイツ…?)
屯所に帰った後、
先程の楠本の行動に首を傾げていた。
(いきなり手を繋いでくれなんて
どういう風の吹き回しなんだ…?A。)
微かに手に残る感触と暖かな体温。
今でも馬鹿見てぇに顔が赤くなってるだろう。
あいつに振り回されてる感じで癪だ。
同じ意味でミツバもそうだ…。
手紙を寄越した時ミツバは、
"どうか、自分に素直になって下さいね。
私の親友を頼みます。"
と最後の一行に綴られていた。
楠本には色々と恩があるし、
その日以来、仕方なくあいつを見守っていた。
(なんか……ほっとけねぇんだよな…アイツは。)
気付けば目線は常に楠本を追っていて、
強いって分かってても、
他人に見せない弱さを知った時以来、
_______アイツの側に居てやりたいと思った。
(……認めたくねぇ…。またこんな感情が芽生えてるなんざ。)
「……懲りない馬鹿野郎だ、俺は。」
タバコの箱に手を出すが、
「………空かよ。ったくしょうがねぇ…。」
外に行って買いに行くか……。
と襖を開け部屋を出た直後、
山崎が物凄いスピードでこっちに向かってきた。
「た、大変です副長…!!
ちょっと、道場に来てくださいッ!!」
……………
道場に向かえば、
外から覗いてる野次馬の隊士達見えた。
一体、そこに何があるってんだ。
俺は仕方なく中をそっと覗いて見る。
そこには威勢の良い声で畳表を斬りまくる
楠本の姿だった。
普段から剣の鍛錬をする楠本だから、
この光景は珍しい事では無い。が、…
「ありゃあ…刀に乱れが出てますねィ…。
相当悩んでるんじゃねでさァ?
_____あの人らしくもない。」
一番の剣の使い手とも言われた総悟でも、
アイツの斬り方の変化に気付く。
正確で綺麗に畳表を斬っているが、
アイツ特有の舞の様な可憐な動きが見えない。
寧ろ、
(何かを切って捨てようとしてる動きだ。)
その姿を背に俺達は、その原因を考えていた。
「どうしたんですかね。楠本先生…。」
「…女の日じゃねぇでさァ?なんかピリピリしてますぜィ?」
「あいつも悩む時もあるだろうよ。そっとしておけ」
『そうですよ。』
いつの間にか俺達の背後に楠本は立っていた。
『…それと私、暫く薬の研究するので邪魔しないでくださいね。』
普段穏やかなあいつじゃない笑みを浮かべながら。
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綾葉メグ(プロフ) - ミイラさん» 読んでくれありがとうございます!そう言ってもらえて書いて良かったなと思います! (2020年4月1日 1時) (レス) id: 937ad8ad2e (このIDを非表示/違反報告)
ミイラ(プロフ) - とっっても面白いです! (2020年3月28日 2時) (レス) id: 8b1d0909e8 (このIDを非表示/違反報告)
綾葉メグ(プロフ) - 読んで下さりありがとうございます!そう言ってくれると心の励みなります! (2019年12月12日 23時) (レス) id: 2cd78e4a1d (このIDを非表示/違反報告)
梨央(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!! (2019年12月12日 22時) (レス) id: 5659f84446 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綾葉メグ | 作成日時:2019年11月25日 18時