63. 恵まれて ページ29
「…姉上ッ!!」
急な知らせを受け沖田君と局長と共に、
大江戸病院に向かった。
病院ヘ駆けつけ目にしたのは、
先程の雰囲気とかけ離れた彼女の姿だった。
あんなに笑っていたはずの彼女が、
ガラス越しの集中治療室内で、多くの筒に身体に繋がれ弱々しく横たわっている。
挙げ句の果に、
「遺族の方ですか…。残念ながら彼女はもう後がありません。…ご覚悟をお決めになってください…。」
私も医者だから分かる。分かりきっていた事だと。だからこそ、これは急すぎる。
心配そうに自分の姉を見つめる沖田君に、
かける言葉も出なかった…。
「……来たか…A…。」
『……銀時……ミツバに付き添ってくれたのね。ありがとう…。お陰で、少しでも彼女の命を取り留める事が出来た。』
銀時が側にいたお陰で、素早く応急処置が対応された。ほんの僅かでも、ミツバの数分程の命が救われて良かった。
「……で、肝心のあいつは来ないのか?
最後の時まで、会わないつもりかあの野郎は。」
幸い、沖田君に聞かれてなくて良かった…。
今の彼には多分副長の名前を聞きたく無いだろうから。
『……銀時…貴方の事だからきっと耳にしてるだろうけど、…あの人は、一人でミツバの許嫁を捕まえようとしてる。』
「……そうかい、…ったくこれだから仕事真面目な野郎は…」
そう言ってる銀時だけど、きっと分かってる。
土方さんが何を守ろうとしているか。
私は腰につけてる刀をそっと手で握り、
スッと銀時の横を通り過ぎようとしたけど、
「……何処へ行く。A。
お前が真選組の一員だからなのは分かる。
だけど、あれは野郎が決めた決意だ。踏みにじるな。」
『………その手を離しといてくれます?銀時。』
銀時に後ろ向いたまま手首を捕まれ、
その先に行かせんとばかりに、離してはくれなかった。
『……貴方に何を言われようと、私は行きますよ。』
「…お前の仲間を守りに行く為か、それとも任務をこなす為か?」
『任務の事ならあの人に任せますよ。
きっと私の手助けなんていらないだろうし。
それにあの人は簡単にやられる人じゃないから。』
生憎、外は豪雨。
私が雨嫌いなの知ってる筈ですよ、銀時。
『私は
「…フッ…、そうかい。気をつけろよ。」
そう言った銀時は私に振り向きはしなかった。
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綾葉メグ(プロフ) - ミイラさん» 読んでくれありがとうございます!そう言ってもらえて書いて良かったなと思います! (2020年4月1日 1時) (レス) id: 937ad8ad2e (このIDを非表示/違反報告)
ミイラ(プロフ) - とっっても面白いです! (2020年3月28日 2時) (レス) id: 8b1d0909e8 (このIDを非表示/違反報告)
綾葉メグ(プロフ) - 読んで下さりありがとうございます!そう言ってくれると心の励みなります! (2019年12月12日 23時) (レス) id: 2cd78e4a1d (このIDを非表示/違反報告)
梨央(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!! (2019年12月12日 22時) (レス) id: 5659f84446 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綾葉メグ | 作成日時:2019年11月25日 18時