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55. 死なせないと誓います。 ページ21

『……話に付き合ってくれて、ありがとうございます。』



「…待て、そいつに伝えたい事がある。」



立ち上がる私の手首を掴み止める土方さん。




『何でしょうか?』




「…、あいつにとって俺達は、仲間だと認識されてるか?」




びっくりして言葉が出ない。
私が真選組に入ったのは、天人を近くで観察出来るからっての理由。



だけど何故だろう……。



ゆっくり私のお面を外す土方さん。
彼には何もかもお見透しだったみたい。




「…改めて、俺達の元で一緒に戦わねぇか?
今度は、戦場の彼岸花や華の女医じゃなく、…

楠本Aとして、俺達の仲間に。」




彼が見せた優しい表情に、何故か涙が溢れ出した。



『……こんな私でも仲間に入れてくれますか…っ?』



「…あたりめェだ。じゃなきゃ、こんな所にあいつらは迎えに来ねぇよ。」




外を見れば沖田君と近藤さんが迎えに来ていた。気が付けばもう夕暮れ。




「お前にピッタリだろ、此処は俺等の見てぇな落ちこぼれた連中が集まった組織だ。

無理して優等生気取る必要はねぇ。お前らしくお前の武士道を貫け。」




もう強がらなくていい、ありのままの素の私をこの人達は受け入れてくれた。


…………


出れば近藤さん達だけじゃなく、



「よっ、話は付いたか?」



「銀時…?!まだ安定にしてなさいと…」




「迎えにいけって言われてな、ほら帰るぞ。」



ギュッ…、



『………っ?』



とさり気なく銀時に手を握られ、その場を去ろうとするが、



ギュッ…、




『………えっ?』

 


「お巡りさん、何か御用か?」




「…俺等はこれから夕飯を食べに行こうとしていた所だ。」




反対の手を土方さんに握られる。




「…えっ、トシ?もしかしてお前…。」



「こりゃあ見ものですねィ。」



睨み合いながら嫌味を話す二人の姿に思わず笑い出すと、二人は不思議そうに私を見る。




『……そうですね。新八君達も真選組の皆さんも連れて焼き肉に行きましょうか。今夜は私の奢りです。』




そう言うと嬉しそうな顔をしてる銀時と恥ずかしがっている土方さん。




「良いんですか?楠本先生。女性に奢って貰うのも…、」




『えぇ、私はこれよりももっと大切な物を貰ったのですから。』



未だに離れない両手の温もり。
手から溢れ落ちて空いた隙間を満たす様に心が温かい。



爺ちゃん、義史兄、光徳
私はもう一人じゃないよ。


必ずこの温もりだけは無くさないから。

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設定タグ:銀魂 , 攘夷組 , 真選組   
作品ジャンル:アニメ
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綾葉メグ(プロフ) - ミイラさん» 読んでくれありがとうございます!そう言ってもらえて書いて良かったなと思います! (2020年4月1日 1時) (レス) id: 937ad8ad2e (このIDを非表示/違反報告)
ミイラ(プロフ) - とっっても面白いです! (2020年3月28日 2時) (レス) id: 8b1d0909e8 (このIDを非表示/違反報告)
綾葉メグ(プロフ) - 読んで下さりありがとうございます!そう言ってくれると心の励みなります! (2019年12月12日 23時) (レス) id: 2cd78e4a1d (このIDを非表示/違反報告)
梨央(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!! (2019年12月12日 22時) (レス) id: 5659f84446 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:綾葉メグ | 作成日時:2019年11月25日 18時

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