43. 過去編回想6: 悲しみ ページ7
彼等と過ごす日々はかつての私の思考を変えるようになった。
友と共に学ぶ学び舎。大好きな先生の後ろ姿。
それらに出会わせてくれた私の家族。
少しずつ増えていく思い出や、
私の誕生日に三人と先生から貰った青い髪紐が全て私の宝物。
けど、そんな幸せまで少しずつ蝕ばわれていくことも知らずに。
…………
寺小屋からの帰り道。銀時達は私を送ると言って帰ったあの日。
神社の鳥居を潜った瞬間に光徳が酷く焦りながら私達の元へ駆けつけた。
『どうしたの…?光徳。酷く焦って…。』
「姉上…!帰ってきては駄目です…!早く寺小屋に戻って…!」
それだけじゃない。何故大粒の涙を流しているのか。
すると神社から聞こえたのは何かが壊れる音。
激しく床に物を叩きつけられたかのような。
急いで駆けつけてみれば、普段と違う怒り狂った爺ちゃん。
他の神社の使用人が彼を抑えつけようとしていた。
「…おのれ…!!返せっ…!!わしゃ、こんな紙切れ等信じちゃおらん…!!」
私がいる事に気付いていないのか、彼は怒れ狂いながらも涙を零していた。何故皆泣いてるのか、状況が飲み込めない。
すると爺ちゃんが持っていた紙切れが丁度、小太郎の目の前に落ち、それを小太郎は拾い上げ読む。
それを横目で見る銀時と晋助の顔はどんどん曇ってゆく。
『…、どうしたの皆…、銀時達も何か暗いよ…?
何か紙に書いてあるの…?』
「A…、これは…」
小太郎が口を開くが何故か二人に止められる。
この時は嫌な予感しかしなかった。変な思考に持っていかれる。
でも爺ちゃんの言葉で確信した。
「…おのれ天人共っ…!!義史を返せぇっ…!!」
『…えっ…?』
「……Aっ…!!」
小太郎の持っていた紙を取り上げて読む。
『……義史兄ちゃんが……戦死……。』
その時は今でも泣きそうな曇天だった。
…………
「ここにいたのですね、A。」
銀時に聞いたんですよと言いながら近づく松陽先生。
神社裏の暗い墓地の片隅。
幽霊は怖くない。逆にここが落ち着くんだ。
三人は放心状態の私に話かけづらかったのか、
先生を向かわせたのだろう。
「……気分転換にお散歩でもしましょうか。
あの三人には内緒ですよ。」
私の大好きな仕草をする先生。いつもなら喜ぶのに、今はのる気にならない。
けど、
不思議とその手を取りたくなった。
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綾葉メグ(プロフ) - ミイラさん» 読んでくれありがとうございます!そう言ってもらえて書いて良かったなと思います! (2020年4月1日 1時) (レス) id: 937ad8ad2e (このIDを非表示/違反報告)
ミイラ(プロフ) - とっっても面白いです! (2020年3月28日 2時) (レス) id: 8b1d0909e8 (このIDを非表示/違反報告)
綾葉メグ(プロフ) - 読んで下さりありがとうございます!そう言ってくれると心の励みなります! (2019年12月12日 23時) (レス) id: 2cd78e4a1d (このIDを非表示/違反報告)
梨央(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!! (2019年12月12日 22時) (レス) id: 5659f84446 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綾葉メグ | 作成日時:2019年11月25日 18時