38. 過去編回想1: 家族 ページ2
「守りたい」ただそれだけの為に…。
私は命を奪った。
………
私が産まれ時は孤独だった。
親の顔なんて覚えていない。
唯一覚えているのは名前だけ。
身内も居ない私は店やあらゆる家から食べ物を盗んだり、ゴミから漁って食べながらも生きていた。
「嫌ね、あの子。髪が赤いわ。」
「天人かしら?」
私の赤い毛とその容姿で誰もが差別をする。
皆の黒い髪と違う、世にも浮いた髪色。
私が天人何かじゃないかと皆が疑い初め、
忌み嫌わた存在になった。
「なぁ、こいつ顔だけは上玉だぜ?」
「遊郭へ売り飛ばせば高く売れそうだ。」
当時5歳、私は住民によって商人に売り飛ばされ、更に遊郭に売り飛ばされそうなそんな時だった。
「いくらじゃ?ちょいとワシんちの所で丁度人手が足りなくなったとこでのう?」
その時出会ったのは私を買ってくれた物好きのお爺さんだった。
………
長崎から遠い場所。
私はお爺さんに連れられ、やって来たのは丘の上にある一つの神社。
「わしが松影神社管理を任されてる者でのう、今日からここがお前の家じゃ。」
最初は誰も信じられなかった。私を売り飛ばした人もそうやって私に話しかけ、付いてくれば勝手に売られていた。
敵意丸出しで私は彼に刃物を向けた。
「爺ちゃん?…この娘は?」
「…誰?爺ちゃん?」
出てきたのは青年と男の人と幼い男の子。
彼等は私が向けている刃物に驚く。
「こいつはA。お前らの妹じゃ。」
「やったな光徳、お前にお姉ちゃんができたぞ!俺は妹か…!!」
『…な、なんで、……』
その光景に言葉を失った。彼等は私を忌み嫌うどころか、私が彼等の家族に加わった事を心の底から嬉しがっているようだったから。
「俺は義史(よしふみ)、こいつは俺の弟の光徳(みつのり)だ。俺等爺ちゃんの孫なんだ。」
「宜しくね、お姉ちゃん!」
『……っ、私はっ…!』
「今日から俺等がお前の家族だ。思う存分甘えてろ!」
話なんて聞かない強引な人達。
こんな小娘を拾って育てた物好き。
入ってからと言うもの、久しぶりに美味しいご飯、暖かい布団、綺麗な着物。何もかもが私がずっと憧れていた物。
そして何よりも欲しかったのは、
そんな私の側に居てくれる人。
15歳年上の義理兄、2歳年下の義理弟、
そして私を引き取ってくれたお爺さん。
たったそれだけで、私は幸せだった。
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綾葉メグ(プロフ) - ミイラさん» 読んでくれありがとうございます!そう言ってもらえて書いて良かったなと思います! (2020年4月1日 1時) (レス) id: 937ad8ad2e (このIDを非表示/違反報告)
ミイラ(プロフ) - とっっても面白いです! (2020年3月28日 2時) (レス) id: 8b1d0909e8 (このIDを非表示/違反報告)
綾葉メグ(プロフ) - 読んで下さりありがとうございます!そう言ってくれると心の励みなります! (2019年12月12日 23時) (レス) id: 2cd78e4a1d (このIDを非表示/違反報告)
梨央(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!! (2019年12月12日 22時) (レス) id: 5659f84446 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綾葉メグ | 作成日時:2019年11月25日 18時