三条宗近の刀 龍祁宗近 ページ18
咆哮が舞台に木霊した。
空を切り開く、玲瓏たる青空。しかし、反比例をするかの如く下に目線を落とせば地獄であった。
右を見ても左を見ても死体の山だ。
辺り一面には逃げ交う人々、まどろまどろしい紅色の血には幾つもの死体が浮いていた。
斬っても、叩いても、撃ってもまだ足りない。
ゾンビともまた違うが、敵兵の思いを受け継いだ新たな敵兵が地獄からのし上がってくる。
「ちっ……龍祁たちいつくんねんやろ。
こんなんキリがない。強い能力者もあっちにおるようやけど、人手が少々足りんなァ」
「嗚呼、もう龍祁宗近さん遅いですね。今の所こちらに勝算はありますが人手が足りない。強い能力者も少々厄介ですね。龍祁宗近さんの言霊があれば止めることが出来るのですが」
レオン同様、龍祁の親友とも言えるシャルア・バッグドールはぼやきながら気体を爆発させ大量虐殺を図る。
口ぶりでは彼等が困り危機的立場のように思える。しかし実際はそうではなく、彼等の強さはいっその事異常を感じるほどであった。
そう、例えるのならばまるで猛虎。人々を食散らし引きずり回し、それでも遊び足りぬと喚く。腹が減ったと訴えるのであれば、まるで血を吸うかのようにひたすら大量殺人を続けた。
其の時。
「いやぁぁぁぁぁ!」
エリー、幼き娘を連れ逃げようとしたスラム街の母親。しかし、直ぐ愛娘が手元にいないことに気が付く。
人々は混乱し、煩雑するこのような状況では小さい娘は時間が許さない限り、見つからないだろう。
「おかあ!おかあさ……ッ……!」
しかし、奇跡的に母親の瞳はエリーを捉えた。エリーが手を伸ばす。母も手を伸ばす。
だが人の世は残酷なことに、エリーの手は母親の手を掠めることなく背後にいた敵兵が刀を振り上げた。
――刹那。
殺戮を繰り返そうとする彼等の頭上に巨大な黒い穴が開いた。例えるのならば何事も吸ってしまうようなブラックホールのようで不思議と人は魅せられた。
瞬間、敵兵は軽く悲鳴を上げ倒れた。
敵兵に刺さるは、背中から貫けられた一本の光輝く、誰をもの瞳を奪う美しき日本刀。
其の日本刀は、頭上の黒き穴から敵兵めがけて降ってきたのだと、誰も言わなかったが自然と判った。
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味噌田楽(プロフ) - 更新しました。 (2021年6月1日 21時) (レス) id: 9f9b8eea81 (このIDを非表示/違反報告)
味噌田楽(プロフ) - 更新します。 (2021年6月1日 21時) (レス) id: 9f9b8eea81 (このIDを非表示/違反報告)
柊 琥珀(プロフ) - 三ツ星優星さん» 了解しました。 (2021年3月14日 0時) (レス) id: 15069fcb1b (このIDを非表示/違反報告)
三ツ星優星(プロフ) - 柊 琥珀さん» メモ欄のお知らせです。追記も少ししたので閲覧お願いします(。・ω・)ゞ (2021年3月14日 0時) (レス) id: b581edf190 (このIDを非表示/違反報告)
柊 琥珀(プロフ) - 三ツ星優星さん» お知らせってどこのお知らせですか? (2021年3月13日 21時) (レス) id: 15069fcb1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:参加者様一同 x他6人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ikatomo/
作成日時:2021年1月24日 0時