doux-amer (ページ46)

今日:15 hit、昨日:0 hit、合計:55,462 hit

46 ページ46

家までの帰り道。

いつもなら寒いなってくっつきあって歩いたり、

繋いだ手をブンブン振りながら歩いてたり、

どんな事してても、必ず笑い合いながら帰ってた。

でも今日の裕太はスタスタと私の手をギュッと握った...掴んでるってゆったほうがいいかも

掴んだままどんどん歩いていく。

いつもなら振り返ってちゃんと付いて来てるか、

優しい笑顔で確認してくれるのに。

それもなく、ただ自分の速度で歩き続けてる。

そんなに裕太の怒ること、何かしちゃったのかな...

ガヂャガチャ

乱暴に鍵を開けて、靴箱の上に鍵を放り投げて、

そのままリビングのソファへあたしのことも乱暴に座らせる。

こんな風に裕太に扱われたのは初めてだったから、
少し怖くて俯いてしまう。

視界に裕太の足先が見えたから、
ゆっくり視線をあげた。

『ゆ...う、た？』

冷めたような目つきで私のこと見てた。

『ごめんっ』

「...なにが？Aは何に謝ってんの？」

『裕太が北山さんと仲良くなって欲しくないの気づいてたのに...』

「なに？仲良くなっちゃった？

だからあんなあの人の過去の話とか聞いてたんだ？」

下向いてフッと意地悪そうに笑う。

どうしよう...こんな裕太初めて。

「やっぱり好きだったんだ。」

『好き...ってそーゆーんじゃないよ？？

私が裕太を思う好きと全然違うよ？』

いつもと違う裕太にどーしたらいいかわからなくて、

なんか、誤解されてるのも違うって言いたくて、

思わずソファから立ち上がったら、

裕太がニコって笑って、肩をポンポンって座って？って。

そのまま、また沈むように腰掛けたら、

「これ、Aのバッグだよね？

携帯、出して？」

早く～って笑いながら言ってるけど、

裕太の気持ちが全然見えなくて、心なしか手が震える。

『はい...ロックかかってないから見てもいいよ？』

やましいこともないし、それで裕太の気が晴れるなら。

「中なんか見ないよ？

じゃあねー、俺以外の男の人の連絡先消して？」

びっくりして裕太を見つめたら、小首傾げて、

「だめー？なんで？仕事とか使わないでしょ？

営業とかだったらあれだけど、Aは必要ないでしょ？」

『...うん。消したら...裕太は安心する...の？』

返事の代わりに、裕太はいつものふわりとした顔で笑った。