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目を向けた先には、ポケットに両手突っ込んだままの裕太が立ってて。




『早かったんだね?もう少しかかるかと思って呑み直しちゃってた。』



私が話しかけてもぼーっと私を見つめたままで...。




「おい、裕太どうした?入んねーの?」


横尾くんも不思議そうに声かけてる。



『裕太...?』




「ねえ、北山さん」




裕太がゆっくりと北山さんに話しかける。




「えっ、俺?

なに?あっまたAちゃんと話してたから怒ってんの?

わりぃわりぃ、もう帰っからさ!」


ミツが横尾くんにお金置いてこうとしたら、

その手を裕太が掴んだ。



「ちょっ、Aちゃんの彼氏マジおこなの?!

ねぇねぇ俺なんもしてないよね??」




『裕太!どしたの??

ミツの手...離して?』




「北山さんは何でAにそんな話するんですか?

同情されたい?

かまってもらいたい?」




裕太がミツの目をまっすぐ見つめたまま、

無表情で聞いていく。



「そうだとしたら?

同情されて、あわよくばそのまま心に入り込めたらラッキーとで思ってたらどーすんの?


俺の事近づけないよーにでもする?」



『ちょっとミツ!!余計なこと言わないでよ!



裕太?もう帰ろっ?ねっ?』


裕太の手の上からそっと私の手のひらを重ねる。


やっと裕太がこっちをゆっくり見た。



『帰ろ?あたし達の部屋に。ねっ?』




裕太はミツから腕をそっと外して、私の手を握り返してきた。






「じゃあね、Aちゃん、ここは俺出しとくから。」


ミツがカウンターからヒラヒラ手を振ってる。


軽く会釈だけして、裕太とお店を出た。

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作者名:たまゆー | 作成日時:2017年2月11日 22時

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