doux-amer (ページ38)

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仕事も定時に終わって、ロッカーで着替えてたら、先に上がったはずの智子が入ってきた。

　
手には大きなショップの紙袋。

　

『あれ？先に横尾くんのトコ行ってるんじゃなかった？』

　

「うん、そうしようかなって思ったんだけど、今日の服よく考えたらイマイチかなって...。」

　
『まさか新しい服買ってきたの？！』

「イエス！！今日こそ藤ヶ谷さんと一歩前進しなきゃ！！」

　
鼻息荒く着替えだす智子に呆れつつも、そんなに好きなんだと感心する。

　

　

　

　
「いらっしゃい！」

　

久々に訪れた横尾くんのお店だったけど、いつもの笑顔で迎えてくれた。

　
『最近来れなくってごめんね。』

　
「全然いーって。奥にみんな揃ってるよ。」

　

そう言ってクイっと奥の個室を指さす。

いつもはカウンターばっかりだったから、奥の個室は初めてだった。

　
個室の扉を開けると、相変わらずのミツと少し気まずそうに笑うガヤさんとニカちゃんと...

結構顔が濃いめの金髪の男の人。

　
こっそり智子に

『あの端っこの人知ってる？』

　
って聞いても首を傾げてる。

「なんだよ、早く座りなよ！二人ともビールでいいよな？」

　
ミツが早く飲みたいのかさっさとビールと適当に料理を注文し始めて...

　
「ちょっとミツ！紹介くらいしてよ！俺誰？ってなってるじゃん！」

金髪の男の人がミツに怒ってる。

　
「あ？！んなの後でもいーじゃんよー。うるせーなー。

　Aちゃん、智子ちゃん、こいつ千賀ね、千賀。

　ゴリでもなんでも呼んでやって。」

「ちょっとミツひどすぎない？！

俺、千賀健永です♪メークの仕事してるの♪」

ちょっと反らした手を胸に当てながらニッコリ笑ってくれた千賀くん。

お...オネエ...さまだったりするのかな？

「ふっふははっ、千賀、きっとAちゃん達にオネエって思われてんぞ。」

ガヤさんが堪え切れなくなったのかクスクス肩を揺らしながら笑ってる。

「あっちがうちがうー！！

これはこの前までNY行ってて、ちょっとうつっただけだって(汗)」

『そーなんですね(笑)はじめまして。

Aです。で、隣が同期の...』

「智子です♪」

「えーー二人ともかわいいじゃん！

やっぱガヤさんの友達の女の子は違うな～。」

「おい、俺が先に声かけて友達だよ！」

ミツがまたつっこみいれてて、なんだかみんなでワイワイ仲がいいんだなってすぐにわかった。