強者至上主義のこの世界で

＋１０話＋ ページ10

ころんside





るぅと君が苦手だ。


いや、正確にはるぅと君含めた幹部のみんなが苦手だ。


さとみくんも、莉犬君も、いつだって僕をしたに見ているから。






だけど、



最近るぅと君が優しい。すごく、優しい。





「ころちゃん！お昼食べに行きましょう」


満面の笑みで僕を見つけるといつも駆け寄ってくれるようになったし、



「ゲームしましょう、ころちゃん！」



よく遊びに誘ってくれるようになったし、


何より。




「ご、ごめん...るぅと君。僕また一人も倒せなくて、足手まといだよね」


｢いいんですよ。ころちゃんはころちゃんのままで｣



怒らなくなった。

僕を冷たい、あの目で見てくることがなくなった。







そして、これはまぁおまけみたいなもんだけど、るぅと君の相棒である莉犬君も僕に優しくなった。



｢ころちゃん、俺も一緒にゲームしたいなっ｣



｢わぁ！いいですね、三人でしましょう｣







とまぁ、最近のるぅと君はこんな感じ。



それでも僕は、彼を信用する気はこれっぽっちも無い。信用したら、裏切るし、どーせ。




僕は、ななもりさん以外信用していないから。









｢だぁぁー、疲れた｣



任務からの帰り、ただ怪我して帰ってきた僕は今日も怒られることなくベットに横たわった。



コンコンと遠慮がちに扉をノックする音。


またかよ。そう思いながら扉を開けるとやっぱりるぅと君がいた。




｢ころちゃん、手当てしましょう｣



これくらいダイジョブっていつも言ってんのにどうして僕に構うんだろう。謎。



｢ねぇ、るぅと君｣


｢はい？｣



包帯を手慣れた手つきで綺麗に巻きながら不思議そうに僕を見上げる彼。




｢STPRは好き？｣



STPRとは、僕たちマフィアのファミリーネームのこと。1000を越える大規模なグループには大体ファミリーネームがつけられる。



｢はい。気に入ってますよ｣



好き、とは言わないよね。







｢僕は、嫌いだよ｣



そう言うと、るぅと君は目を細めて屈託無い笑みを浮かべる。



｢知ってますよ。そのくらい｣








ほんと、そうゆうとこ。

気に入らねぇ。

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