フェスティバル ページ39
にじフェス初日。さくゆい劇場は(前夜祭を除くと)いの一番のステージだ。葛葉からはLINEで「応援してる」と連絡があった。その画面を何度も見て深呼吸する。私は唯華、咲ちゃん、チャイカさんと共に温泉にいく本人役。大丈夫、大丈夫。
唯華「緊張してるん?」
「唯華…トチらないように頑張るね」
唯華「そんときはフォローするから大丈夫よ、チャイカさんが」
花畑「お前が助けてやんなよ…」
「チャイカさんありがとうございます」
花畑「お前もそれでいいのか」
唯華はさすがだ。私が一番気にしている「ミスって唯華に迷惑かけたらどうしよう」を払拭してくれた。チャイカさんを犠牲にして。
イブ「まぁ、俺らもいるし大丈夫っしょ」
小野町「出番のときなら助けてあげられるよ!」
笹木「大丈夫やよ〜深呼吸深呼吸〜」
皆やさしい。春香やイブくんなんて私と一緒でステージ慣れしてないはずなのに、頼もしいこと限りない。
早瀬「そろそろ始まんで!」
その声に身が引き締まる。
さぁ、出番だ。
さくゆい体操も踊り終わり、舞台は何事もなく大団円。大成功に終わった。色とりどりのペンライトや皆の歓声が忘れられない。
「もっとステージ…やりたいかも」
誰に告げるでもなく出た言葉は、私の中で決意となった。そのあと観るSYMPHONIAは本当に眩しくて、私も歌でステージに上がりたいと思った。
2日目。葛葉の正体でソロイベントを見に行く。ウィッグを被って変装して客席に入ると、昨日自分が立っていたステージが目の前に広がっていて、不思議な気持ちになった。
葛葉が出てきて、堂々と歌い始める。
その姿は世界で一番かっこよくて、輝いていた。
ああ。私もあそこに立ちたい。
もっともっと、リスナーに誇れる私になりたい。
体質じゃない、私の力で愛されたい。
葛葉のステージは細部の演出まで作り込まれていて、圧巻だった。どれだけ努力すれば、どれだけの場数を踏めば、そんな風になれるというのか。
ねえ。私ね。
唯華がいればそれでよかったの。
だけど唯華に連れられてきたこの場所で、リスナーと出会って、貴方と出会って。私はどんどん変わっていった。
そんな、この数年間の日々を、濃縮させたような2日間だった。
帰ったらさっそく配信しよう。
リスナーに伝えよう。私の決意と覚悟を。
それから、たくさんの感謝の言葉を。
葛葉にはプラスで、たっぷりの愛を。
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よもぎもち(プロフ) - めめさん» ありがとうございます!大変モチベーションになります!!続きも頑張りますね! (2月12日 18時) (レス) id: c260269ddb (このIDを非表示/違反報告)
めめ - めっちゃ好きですこの話!!続き楽しみにしてます!更新頑張ってください! (2月12日 17時) (レス) id: a85ab24ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よもぎもち | 作成日時:2023年11月13日 19時