疑念と自惚れ ページ28
「私がわかってないって、どういうことですか」
話を本筋に戻そうと、敢えて復唱をしてみる。不破先輩は「にゃはは」と笑った後、立ち上がり様に私の頭をグシャグシャと撫でた。
不破「話したいけど、時間切れみたい」
そう言って不破先輩が生徒会室の扉の方へ歩いていくと、タイミングよく、かつ盛大に扉が開いた。
三枝「終わったー!疲れた!」
不破「明那、おつかれー。何してたん?」
三枝「あれっ!ふわっちゴメン!待っててくれたんか!」
一気に騒がしくなり、ぶち壊された空気に何も言えなくなる。不破先輩のいうように、私は何か勘違いしているのだろうか。心当たりがまるでない。
…いや、嘘だ。本当は思い当たる節がある。
昨日の叶先輩とのやりとりで、私のなかで愚かな疑念が生まれていた。本当に愚かで、とんでもない自惚れだけど。
叶先輩が、私のことを好きなんじゃないか。
もし。もしも、本当にそうなら。叶先輩が博愛主義だという考えが私の勘違いで、あの優しさが私に特別に向けられたものなのだとしたら。
そんなことを全く考えてこなかった私が、他にも何かを見落としていてもおかしくはない。
例えば、いつも隣にいてくれる「初めての友達」
例えば、何かにつけて巻き込んでくる「先輩」
例えば、隙あらば一緒にいようとする「クラスメイト」
例えば、家族のように支えてくれる「社長」
…例えば、これは本当に考えたくないけど、大切な「兄」
とんでもない自惚れなのはわかっている。ただ、今まで思考の隅にもいれてこなかった可能性が私のなかに芽生えたことで、あまりにも今更で、当然で、恐ろしいこと気付いた。
あの人たちは皆、男の人なのだと。
ずっと拒んでいた事実が、私の胸を締め付ける。そんな思考に再び蓋をして、書類に向き直った。考えるのをやめよう。別に、誰かからアプローチを受けたわけでもないんだし。異性であっても、私達は「友人」だ。
明那「そんじゃ、A、またあとで!」
「ん?あとで?」
明那「俺ら、この後まゆと遊ぶから先帰ってるわ」
明那がそう言うと、不破先輩がニコニコと微笑みながら私に手を振ってきた。悩みの種を振り撒いた張本人からは、どうやら逃れられないらしい。
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よもぎもち(プロフ) - の〜さん(旧もこ)さん» コメントありがとうございます!恋愛に発展するように頑張ってみますね! (11月11日 11時) (レス) id: c260269ddb (このIDを非表示/違反報告)
の〜さん(旧もこ)(プロフ) - コメント失礼します。私2j3jの人達全員推しなのと愛され大好物なので嬉しいです!出来たら全員に恋愛的に愛されたいです。無理ならすみません。更新頑張ってください!楽しみにしてます! (11月11日 10時) (レス) @page2 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
よもぎもち(プロフ) - きささん» リクエストありがとうございます!fwさんですね、かしこまりました! (7月17日 21時) (レス) id: c260269ddb (このIDを非表示/違反報告)
きさ - よもぎもちさん» 返信ありがとうございます。リクエストなんですけど、fwさんとの絡みがみたいです‼ (7月17日 21時) (レス) @page23 id: 9659c34de0 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎもち(プロフ) - きささん» コメントありがとうございます!!めちゃくちゃモチベになります!!楽しんでもらえるよう、頑張って続き書きますね! (7月17日 11時) (レス) id: c260269ddb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よもぎもち | 作成日時:2023年7月12日 15時