烏よ、再び 番外編【ハイキュー！！】

藤永　あゆさんリクエスト ページ12

藤永｢うぃーす｣



　熱い夏のある日。



　藤永が烏野高校の体育館に顔を出した。



『えっ、藤永さん！？ なんで居るんですか！』



　パッと振り向いたAがそう叫ぶと、藤永は唇を尖らせて不服そうに言った。



藤永｢俺がおったら悪いんか？｣



　聞き慣れない関西弁と知らない人に部員達はビビりまくっている。



　日向にいたっては既に涙目だ。



　藤永はそれを知ってか知らずか、後ろに回していた手を前に出した。



藤永｢ほれ、差し入れ。今日はたまたまこの辺通りかかったから、お前の様子見るために来てん｣



　藤永が持っていたのは棒アイスの箱。



　藤永の後ろにはクーラーボックスが鎮座している。



『ありがとうございます。皆、溶けないうちに貰った方がいいよ』



　そう言ってAがアイスを一本かっさらう。



　部員達もそれにならい、困惑しながら次々とアイスを取る。



　その際、きちんと運動部らしく礼を言っているのを藤永が微笑ましく見つめていた。



澤村｢あのー……｣



　早くもアイスを食べ終わった澤村が口を開いた。



澤村｢差し入れ、ありがとうございます。その、どなたでしょうか……？｣



『ああ、俺の膝の先生。元白鳥沢のレギュラー』



藤永｢余計なこと言わんでええねん。よろしくー｣



　藤永がAを小突きながらペコリと頭を下げる。



月島｢おやおやぁー？ 白鳥沢といえば、王様の落ちたとこじゃないの｣



　月島がニヤニヤといやらしく笑う。



　その横で日向も同じような表情をしている。



影山｢うるせぇ。ポジションどこッスか？ 俺、セッターの影山です｣



藤永｢あ、俺もセッター｣



　藤永が答えると同時に影山の目が輝く。



　少し離れてその様子を見ていた菅原がニヒッと笑って言った。



菅原｢俺、次の影山の言葉予想出来るわ｣



　──バレー、教えて下さい。



　菅原の小さく呟く声と影山の叫ぶような興奮気味の声が重なる。



藤永｢……え？ いや、もうだいぶ鈍っとるし無理やで｣



『とか言って上手いんでしょ！ 俺知ってますもん！』



藤永｢いやいや、ほんまに無理やって……｣



　嫌そうに顔をしかめる藤永をAがズルズルと引きずって体育館の中に入れる。



　武田はその様子をいつもの笑顔で見つめている。



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　次行きます。

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