烏よ、再び５ 青葉城西編

青葉の最後 ページ26

──自分の感覚が研ぎ澄まされているのが分かる。



　今ならどんなボールでも拾える気がする。



　影山のセットアップを凝視する。



影山｢……｣



　は、と半開きにした口から僅かに呼気が漏れた。



　影山の手からポロリとボールが落ちた。



　──ツーアタック。



　及川の後輩なだけある。



　本人は教えてないって言ってるけど、認めてないけど。



　やっぱ及川の後輩だ。



　腹立つプレーとかそっくりだわ。



　タイムアウトが取られ、タオルで滴る汗を拭き取りながら思う。



　２番のサーブへの対処を相談し合い、コートに戻る。



　……松は、コートの中に入らなかった。



及川｢ここ一本切るよ！｣



　及川の声に意識が現実に引き戻される。



　コート内にはひりつくような緊張に覆われ、自分の心臓の音がやけに大きく聞こえた。



　──２番が岩泉の前にサーブを落とす。



　ドクリ、ドクリと徐々に心音が大きくなって、手足が僅かに痺れる。



　やけに照明が眩しく感じられた。



　岩泉が上げたボールを及川が京谷にトスする。



　坊主頭の顔面に向かったスパイクが、辛うじて上がる。



　──影山を攻撃に加えた、シンクロ攻撃。



　またかよ……！



『ッ、』



　ほぼブロック無しで打たれたエースのスパイクをレシーブする。



　相変わらずクソ重いスパイクが大きく右に弾かれる。



　それを見た瞬間、及川が走り出した。



『及川頼んだ！』



　

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