烏よ、再び【ハイキュー！！】

烏よ、舞え ページ26

森｢ネットイン！ 前前っ！｣



　町内会チーム４点、烏野３点。



　日向のサーブを西谷がすれすれで取りに行く。



　ボールは見事にセッターの元へと返った。



菅原｢ナイスレシーブ！ ──A！｣



　高いオープントスを菅原が上げる。



　オープントスはブロックを揃えやすい。すぐさまAの前に影山、月島、田中の高い壁が立ちはだかる。



『ふっ！』


　
　軽やかなジャンプ。小柄ながら、高いジャンプで高さは充分にある。



　少し広く空けすぎた田中の腕の間をスパイクがすり抜ける。



澤村｢っ！｣



　クロスのコーナーを狙ったスパイク。



　当然のように澤村のレシーブは間に合わず、誰にも触れられることなくスパイクが決まった。



『っしゃ、ナイストス！ ナイスレシーブ！』



　輝かんばかりの笑顔を見せるA。



　レシーブで倒れ込んだ澤村は、ゆっくりと起き上がった。



縁下｢澤村さん、大丈夫ですか？｣



澤村｢ああ、大丈夫だよ｣



　駆け寄って来た縁下に返事を返し、澤村はふーっと長い息を吐いた。



澤村｢さすがAだよな。まさかブロックの間ぶち抜かれるとは思ってなかったよ｣



縁下｢まあ、多分ブロックが完璧でもぶち抜きに来ますよね、あの人だと｣



　縁下が呆れ気味にネットの向こう側のAを見た。



　その目はもはや先輩を見る目ではない。珍獣でも見るような目だ。



澤村｢ぶち抜く……っていうかぶち壊しに、だな｣



　澤村が付け足した言葉に縁下が小さく笑った。



日向｢影山ーっ！ 次俺にトスくれよ！｣



影山｢言ったら意味ねぇだろうが、日向ボゲェ！｣



日向｢なんだと影山！｣



　目を離した隙に口喧嘩を始める後輩二人。



　縁下がスス、と後ずさりする。額には冷や汗を浮かべている。



澤村｢……｣



　澤村が光の入っていない目で後輩二人を見つめている。



　──自業自得。



　そんな四文字熟語を頭の中に浮かべ、縁下は澤村の顔を見ないようにそっと目を逸らした。

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