泡が19つ ページ31
『な、なんでシャンクスが…』
「なんでって、急に居なくなるからお前を心配して…！」
雨の中、僕を探してくれたのか肩がびしょびしょに濡れて、トレンドマークの麦わら帽子も水浸しになっているシャンクス。僕の肩を掴んで、心配したんだ。そう言ってくれるシャンクス。
「お前の部屋に行ったらもぬけの殻で、船中探しても居ないから。お前に何かあったんじゃないかって…！」
『っ……』
僕の肩を握る力がどんどん強くなって、ウタを心配する時の様な顔付きになる。なんで、ウタと同じ時の顔するの…。
僕くらい、僕一人くらい、居なくなっても心配しないと思ってたのに…あんなに幸せそうに、みんなで作業してたから、別に僕の心配なんてしてないと思ったのに………
『ご、ごめん。シャンクス………』
重い空気に耐えられず、俯いて謝罪を口にすれば、僕とシャンクスの間に院長さんが割って入る。
「まぁまぁ、Aくんにも家出する程の思う所があったんでしょう…そんなに叱らないであげてください。彼はとても努力家な素晴らしい子です。」
「は、はい…。こちらこそウチのがお世話になりまして、ありがとうございました。」
院長さんの言葉に、驚きつつお礼を言うシャンクス。
1度溜息をつき、僕に手を差し出してくる。行動の意図が分からず、なぁに？と聞けば こういう時は手を繋ぐもんだと言われる。両手に持っている2冊の本を、上手いこと片手に収め手を取る。
初めて、シャンクスと手を繋ぐこの感覚。海賊のお頭をやってるだけあって、手はゴツゴツと大きく温かい。
1度手を離し、院長さんと看護師さんに手を振りながら外へ出て再度手を繋ぎ、シャンクスの名前を呼ぶ。
『ごめんね…勝手に外に出て。』
「お前が家出なんて初めてだ。」
船から少しでただけでこの言われよう、もはや間違って伝わった家出の弁解もする気にならない。
『ごめんね、シャンクス』
「いいさ、お前が無事なら。」
話を逸らすように、僕が抱えているもう一冊の本について聞かれる。これは院長さんのプレゼントだと話せば、そうか！良かったな。そう話される。
なんだか、この会話が家族みたいで。普段、羨んでみているウタとシャンクスの会話みたいで、心が暖かくなる。
「帰るか」
『うん』
雨上がりの空には、3つの虹がかかっていた。
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紫苑(プロフ) - 完結おめでとうございます！ (2023年3月5日 14時) (
レス) @page46 id: 44ea1afdd3 (このIDを非表示/違反報告)
穹(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉話が更新される度ほんとにワクワクしながら読ませてもらっていました！何回も読ませてもらいます！お疲れ様でした！ (2022年9月16日 21時) (レス) @page45 id: 17ca666086 (このIDを非表示/違反報告)
はくろー(プロフ) - 完結おめでとうございます！嬉しい気持ちではありますが寂しく思います。お疲れさまでした！！ (2022年9月16日 20時) (レス) @page44 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
ココ丸(プロフ) - とっても素敵な作品です！本当に泣いたり笑ったり楽しませていただきました。だいっすきです！新作等たのしみにしていますね！♪ (2022年9月16日 20時) (レス) id: 17402642c9 (このIDを非表示/違反報告)
はくろー(プロフ) - おもろかったです!更新を楽しみにしてます(*^ ^*)頑張ってください♪ (2022年9月15日 20時) (レス) @page40 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パチュリー | 作成日時：2022年9月12日 3時
