泡が20つ ページ32
シャンクスと手を繋ぎながら船に戻れば、みんなが僕を囲うようにして駆け寄ってくる。皆は口々に、心配した。と言っていて、外に出たければ誰かに声を掛けてくれと多少怒られた。
「お頭や俺達、勿論ウタも皆、お前のこと心配してたんだ」
と、ヤソップに言われる。行く前は、あんなにも冷たい態度を取られていたのに本当に心配してたのか？という疑問も出てきたが、口に出さないよう喉元で留める。
心配してくれた皆に、『ごめんね』と謝り自分の部屋へ戻ることにした。
＿＿＿＿
部屋に戻り、院長さんから貰った本を師匠から貰った本の隣に置く。僕の宝物、幸せの証。僕の生まれた証。
師匠から貰った本の表紙を、指でなぞりながらゆっくりと開いていく。
” 誕生日おめでとう アタシのかわいい 愛息子 ”
その文字を見て思い出す。
『あれ、今日って………』
カレンダーを確認しようと席を立った時、扉を優しくノックされる。入っていいと言えば、扉の向こうにはウタとヤソップが居た。
何か用があるのかと聞けば、2人は僕の両手を引っ張りどこかへ連れて行かれる。意味がわからず、『ちょっ、ねぇどうしたの？』と聞くけれど、「着いてのお楽しみ！」と夜なのに眩しい笑顔でウタに返される。
着いた先は、誰もいない甲板。
真っ暗になった空に輝かしい星。
『それで、どうしたの？こんな所に連れてきて』
そう言って、いつの間にか腕を離したウタとヤソップに問いかけようと振り返れば誰も居なくなっていた。
驚いて周りを見渡すけれど、やっぱり誰もいない。
探してもしょうがないか、と半ば諦め状態で中心辺りに歩みを進める。
風が気持ちいい。
あの時も、こんなに綺麗な星空だった気がする。
どこかの言い伝えで、死者は星になると言われていると聞いた時は流石に驚いた。
ねぇ、ししょー。そこに居ますか？僕のこと見えてますか？
複数の足音が後ろから聞こえ振り返ってみると両耳に負担がかかる程のクラッカーの音が聞こえた。
ケーキを持ったベックマンに、シャンパンやワインを持つホンゴウ。その後ろには、美味しそうな料理のお皿を持ったルウに、パンチとモンスター。
スネイクとライムとガブがこちらを見て手になにやら抱えていて、ヤソップはこちらへ手を振っている。
「誕生日おめでとう！A」
「おめでとー！A」
師匠、見えていますか？
『僕、今日誕生日なんだよ。大人に近づいたんだよ。』
皆の方へ歩みを進める＿＿＿
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1106人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紫苑(プロフ) - 完結おめでとうございます！ (2023年3月5日 14時) (
レス) @page46 id: 44ea1afdd3 (このIDを非表示/違反報告)
穹(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉話が更新される度ほんとにワクワクしながら読ませてもらっていました！何回も読ませてもらいます！お疲れ様でした！ (2022年9月16日 21時) (レス) @page45 id: 17ca666086 (このIDを非表示/違反報告)
はくろー(プロフ) - 完結おめでとうございます！嬉しい気持ちではありますが寂しく思います。お疲れさまでした！！ (2022年9月16日 20時) (レス) @page44 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
ココ丸(プロフ) - とっても素敵な作品です！本当に泣いたり笑ったり楽しませていただきました。だいっすきです！新作等たのしみにしていますね！♪ (2022年9月16日 20時) (レス) id: 17402642c9 (このIDを非表示/違反報告)
はくろー(プロフ) - おもろかったです!更新を楽しみにしてます(*^ ^*)頑張ってください♪ (2022年9月15日 20時) (レス) @page40 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：パチュリー | 作成日時：2022年9月12日 3時
