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拾参+おまけ ページ15

「あー……あー……それは……だな……」

「?」

「えっ……と」

「あ、もしかして」

「!」

バレたか、と鋼鐵塚はヒヤリとした。
しかし、Aは色恋沙汰にはとんと弱い。

「忘れ物とかしちゃいました?あの子達からはなにもないのですが」

「んーーまぁまぁ……んん、まぁ……」

「すみません、気がつかなくて」

ドキドキと脈打つ心臓を抑えながら鋼鐵塚はAに尋ねる。

「あー……Aさん?その、……腕に、傷がなかったか?」

「……え?」

「あ、や、その、……服を脱いでいる時に見えた……んだ。その、……腕にないか?傷……」

Aは右腕に出来ていた傷を撫でた。ちゃぷ、と湯が跳ねる音がした。
こんなところにも出来ていたのか、とAは思った。

「ええ、ありますよ」

「……やっぱり、鬼か」

「はい」

自らの体を眺めると無数の傷が見える。今は薄くなって見えないものがほとんどだが、絶対に消えない傷が残っていた。

「他にもあるのか」

「はい。
……女性なのにこんなに傷だらけなんて、恥ずかしいですよね」

こんな傷だらけでは、嫁の貰い手など現れない。
実家の病院は弟が継いでくれているため、心配はないが
両親を、がっかりさせてしまう。

「……別に、いいんじゃないか」

Aは顔を上げ、鋼鐵塚の声がする方向を見た。

「Aさんが頑張った証拠だ。恥ずかしくなんてない」

「へ、……あ、」

「鬼と戦ってきたんだろ?傷の分だけ多くの鬼と戦って、人を守った。
なら恥ずかしくなんてない。堂々としてていい」

「……」

温泉のためか、言葉のためか。Aは目眩がするほど熱くなっていた。
感じたことのない、トクトクとした鼓動が苦しいが気持ちいい。

「わ、私、もう出ます」

「もうちょっと入ってけばいいじゃねぇか」

「あの、そう、のぼせちゃったみたい、で」

Aは急いで浴衣を着ると、鋼鐵塚に話しかけた。

「鋼鐵塚さん。
温泉に入る予定だったんですよね?入り終わったら、もっと、お話ししましょう」

そう言い残し、Aはカラコロと下駄を鳴らして階段を降りて行った。

「……早く出ないと!!!!!」

鋼鐵塚は着物を脱いだ。





【おまけ】「Aさんが入っていた温泉だったから……」

「!」

鋼鐵塚は気づいた。この湯はAが入った湯だと。

「こ、これに入れば、Aに間接的に包まれる……?」

謎の緊張感が鋼鐵塚の体を走った。

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五十土(プロフ) - NANAさん» ありがとうございます!ドキドキできるような感じを目指しているのでとても嬉しいです^ ^頑張ります! (2019年12月14日 13時) (レス) id: a2d3564c6a (このIDを非表示/違反報告)
五十土(プロフ) - 牙さん» 鋼鐵塚さん可愛いですよねわかります!癒されてくれてありがとうございます(?) (2019年12月14日 13時) (レス) id: a2d3564c6a (このIDを非表示/違反報告)
五十土(プロフ) - コハクさん» ありがとうございます!更新しましたのでまたお楽しみください! (2019年12月14日 13時) (レス) id: a2d3564c6a (このIDを非表示/違反報告)
NANA - こんなに素敵な作品に出会ったのが久しぶりすぎて...ドキドキ止まりません...更新頑張ってください!! (2019年11月20日 16時) (レス) id: 714d999e70 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 最近鋼鐵塚さんが可愛く見えて仕方ないので、この小説を読んでると癒されます!更新待ってます!! (2019年11月16日 1時) (レス) id: aea81487e4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:五十土 | 作成日時:2019年5月2日 22時

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