欠片βー2 ページ3
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「下手をしたら、彼奴が潰れてしまうかもしれません。だから
「中也君」
やけに柔らかな口調
しかし、その言葉の纏った空気に、中原は顔を強張らせた
「君は何か、勘違いをしているようだね」
「は‥‥」
「私は別に、彼に幸せになってほしい訳じゃないのだよ」
「‥‥‥」
はなたれたその言葉に、中原は固まる
いや、何も不思議な事ではない
むしろ、それはポートマフィアの利益を考えれば当然のこと
分かっていたし、異論はなかった
それでも何処か引っ掛かってしまった
それでも
「‥‥承知しました」
ポートマフィアでは、首領の命令が絶対だ
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「今日から訓練に入る。貴様をさっさと実戦に使えるよう仕込まねばなるまい」
「分かりました、‥‥芥川先輩」
「‥‥気色の悪い呼び方をするな」
「僕は、目上の人には、ましてや自分に時間を割いてくれる人には敬意を払えるつもりです。貴方が僕の教育係の内はこう呼ばせて頂きます」
「‥‥‥好きにしろ」
芥川は輪廻を品定めする
己が言えた口ではないが、華奢で肉付きがいいとは言えない体つき、白い肌、何処を見ているか分からない視線
とても実戦向きとは思えないが、そんな事は関係が無い
「このポートマフィアではその力こそ全て‥‥喰うか喰われるか、それだけの話だ」
「喰う?」
「然り。他人は喰える。骨の髄まで暴いて、むしゃぶり尽くせ。肉が無くなり不要になった骨は捨てろ
それが出来ぬ人間は死ぬまで弱者だ。弱者の残された道は一つ
死んで、強者に道を譲る事だ」
「‥‥芥川先輩は」
「なんだ」
「芥川先輩は、死ぬまで其では苦しいと思わないのですか?」
「愚問だな」
芥川は白い手を口許にやり、軽く咳き込んだ
「僕の求む物などただ一つ。極つまらぬたった一つだ
それだけの為、血を舐め啜るが如きの敗北を幾度も抜けてきた」
今咳き込んだこの口から、何度血を吐いたかなどとうに忘れた
「このポートマフィアにおいてその名に強者の名を刻み込む者は皆、闇を行く敗残兵よ
いいか、ポートマフィアはこの街の暗部そのもの。ヨコハマの夜そのものだ
この街の隅々にまで根を張る
決して甘い考えをするな。信用もするな
お喋りは最初に死ぬ」
輪廻の紫の瞳がユラリと動いた
闇を心地よいと言ったこの小僧は、もう既にただの人間になれぬことは分かっている
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りんず(プロフ) - みーさん» ありがとうございます!更新もちょこちょこ頑張ります! (2019年1月19日 17時) (レス) id: f93fc47876 (このIDを非表示/違反報告)
みー - りんずさん» 楽しみにしています(p`・ω・´q) (2018年11月4日 20時) (レス) id: e1398f3fe6 (このIDを非表示/違反報告)
りんず(プロフ) - みーさん» みー様、コメントありがとうございます!結構な間が空いてしまいましたが、ようやく書けます。更新頑張ります! (2018年11月4日 19時) (レス) id: f93fc47876 (このIDを非表示/違反報告)
みー - ば、ば番外編だとぉぉぉぉぉ!?タイトル変わったのかな、と思ったら番外編!?ありがとうございます!応援してます(*´∀`*)尸" (2018年11月4日 13時) (レス) id: e1398f3fe6 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - りんずさん» なるほど! (2018年11月3日 10時) (レス) id: a2c75168cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんず | 作成日時:2018年11月1日 23時