あなたをさらいに夜がくる ４【文スト】【深夜廻】

夜廻１６１.会いに行く ページ47

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あっという間に遠くなった後ろ姿



伸ばした手を、そっと下ろした




「‥‥A、今の小娘は知り合いか」


『ううん。でもきっと‥‥』





‥‥‥‥‥




『‥‥なんでもない』


「‥‥そうか」


そのくれた御守りには、どういう意味があったのか




私には知るよしもない


私がすべきなのは



一刻も速く、蓮に会いに行くこと



「折角だから、この御守りは持っていようか」


太宰さんは、二つの内の一つを龍と敦に押し付ける



「二つで一つね」

「なっ！」

「‥‥何故僕が人虎と‥‥」



明らかに眉間にしわがよる二人を無視し、太宰さんは中也を振り返った




「中也は私とね。ひっじょーーーーに！不満だけれど」



「その台詞そっくりそのまま返すぜ青鯖」






少し首を傾げて薄く微笑む太宰さんと、帽子を被り直し軽く舌打ちをする中也






軽く咳き込みながら指先で髪をはらう龍と、御守りをその手に大事そうに握る敦





冷たい風が、私の髪を空にはねあげた









ゆれる二本のミサンガ











果てしない闇に溶けていった彼に



振り払った手は今更痛む











なら、闇へと会いに行こう









一瞬ミサンガが放った様に見えた赤い光




反射して見えたほんとの色









『行こう』









＿＿＿＿暗闇に、色がついた＿＿＿＿









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